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「旅行」
「ああ、あの絵だすかあ。海だす」
「海はわかるけど、どこの海なの?」
「実は僕も行ったことないだすよ」
「空想なの?」
「違うだすよ」
「じゃあ、実在するの?」
「そうだす」
「そこに行けたらいいな」
「じゃあ、そこに行くだすかあ」
「いいの?」
「いいだすよ」
かおむはにっこりと笑って、
自分が描いた絵を指さした。
「うわー、キレイ!
海も空も。魚がこんなとこで泳いでいるわ」
「本当だすなあ」
「こんなにキレイなところもあるのねえ。
それにしても、
海って、こんなにキレイなのねえ。
うわー、この魚もキレイ。
キレイなものって、いくらでもあるのねえ」
「はあ?」
かおむにはもとえの言葉の意味が
この時点ではまだわかっていなかった。
もとえとかおむは、
ニューカレドニアのある島で
楽しい数日を過ごした。