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「プロローグ」
「助けてくれだすよ。
もう悪いことはしないだすよ」
かおむは助けを求めた。
完全体は、
その本人が満足して初めて完成する。
故に、
はたから見ていくら素晴らしくても、
本人が満足していなければ、
不完全体のままである。
かおむは、あの言葉を思い出した。
不完全体の寿命は、
目覚めてから、
わずか5時間余りである。
限りない欲望を持つ限り、
決して完全体にはなれない。
かおむは後悔した。
「あー、この穴の中に?」
「死体か、それとも生きてるか?」
「さあ?」
「とにかく、助けよう」
かおむは救出された。