表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海とミサンガ  作者: 深田おざさ
25/89

梅雨ー成宮そら(2)

 価値観一致ゲームは2時間ほど続いた。しかし途中で挟んでいた雑談にウェイトが寄り、二人は結局ゲームそっちのけで話し込んでしまっていた。

「そういえばもうすぐ体育祭じゃん!楽しみだなー」

 うみの言う通り、6月の中旬には体育祭がある。ダンスや応援団などは早々に決まり、そろそろ種目決めがある頃である。

「そらちゃんは何出るの?」

「まだ決めてないけど、1人の責任が大きいのには出たくないかな」

「あーーね。リレーとか?」

「うん、リレーも嫌かも。転んだりしたらもう終わる気がする。色んな意味で」

「それは確かに。うちも転んだことあるーー」

 そらはこの一週間うみとミサンガの世界で過ごしていく中で、自分の中で言葉に詰まるものとそうでないものがなんとなく分かってきた。おいしい、きれい、好き嫌いなど、物や景色といったものに対して自分の思ったことは言える。これはうみから感想を言っていこうというアドバイスをもらったこともあり、ミサンガの世界では今まで以上に口に出すようにしていた。一方で人間的な部分や性格的な部分については全く自分の感情を話すことはなく、自分の過去に関することについても打ち明ける勇気はなかった。そら自身は()()()がいつうみに知られるのか、それが心配でならなかった。

 きっと立花さんもあの噂を聞いたら、私のことを嫌いになるんだろうな。

 そらはそう思い始めると、毎日ミサンガの世界で彼女と会う瞬間が少し怖くなっていった。しかし今はまだ知られていないのか、彼女はいつものようにそらに笑いかけてくれる。そらはそれでほっとするのであった。


 二人は向かい合ったまま話を続ける。

「うちのクラスはもう種目決めしたからさ、そらちゃん一緒のやつ出よーよ」

「なににしたの?」

「騎馬戦と色別ダンス!」

「どれもちゃんと目立つ、、、」

「えーうそー!そんな目立たないって!そらちゃんは何にする予定?」

「うーん、玉入れとかかな」

「ちゃんと目立たない、、、」

 うみはけらけら笑って立ち上がり、黒板に向かった。

「種目何あったっけ?」

「えっとー」

 種目は全員参加の学年種目が1つと、男女別種目1つ、そして全校種目が4つあり、全校種目は最低でも1つに出なければならなかった。二人の学年の種目はタイフーン、男子種目は組体操、女子種目はダンス、全校種目は玉入れ、騎馬戦、徒競走、色別のペアダンスである。最後に学年リレーと色別リレーがあって幕を引く。華のある種目は騎馬戦と色別ペアダンス、そしてリレーであり、人気もすさまじいので、種目決めの時には大いに盛り上がりを見せる。

 色は赤、青、黄、緑の4色あり、各学年が4クラスなので、各色に1、2、3年それぞれ一クラスが所属する。色決めは先週の全校集会で決められ、そこから応援団やパネル作成などが一気に始まっていった。ちなみにうみの所属する2年1組は赤団、2年3組のそらは緑団である。そらは谷崎(たにざき)勝吾(しょうご)が髪の毛を染め直さなくていいぞ、と喜んでいたので、1組が赤団ということは知っていた。

「色別ダンスって男女ペアなんだね!ちょーリア充種目じゃん!」

「あれ、毎年3年生の中でダンス終わったら告白するとかあるから凄いよ」

 そらは1年の頃にその光景をみて衝撃を受けた記憶があった。

「うわー!そういうのやだなー!」

「そうなんだ」

 そらは少し意外そうに言った。うみが力強くうなずく。

「嫌でしょー!うち告白とかって誰もいないとこでしてほしいんだよねー!」

「へぇー」

 そらは一瞬だけ垣間見えた彼女の乙女っぽさにどきっとしたが、動揺が見えないように答えた。

「ねぇー!めっちゃ興味ないじゃーん!」

 うみは少し照れながら笑い、ごまかすためにそらの肩を叩く。

「うみちゃんは誰とペアでやるの?」

「えぇー、知りたい―?」

 めっちゃ知りたい。

 そらはその言葉を心にとどめ、

「まぁ、ちょっとは」

 と返す。うみはなぜかふふーんと鼻をならして得意げにした。

「谷崎くんだよ」

「え、谷崎?!」

 そらは驚いて思わず大きな声を出した。勝吾のデレデレした顔が浮かぶ。

「まぁホントは色別ダンス出る気なかったんだけど、結構いっぱい誘ってもらったんだー。で、谷崎くんには全校集会のタバコの件で助けられたから、それで良いよってなった!」

「抜け目ないな、、、」

 そらはぼそっと言った。前々からうみと喋ったと色々自慢してきたこともあり、完全に狙っているとしか思えなかった。

 このまま付き合うことになったら、、、。

 そらはデレデレしながら惚気る勝吾の顔を安易に想像できた。非常に不愉快である。そもそもそら自身はうみのことが好きなので、彼女が誰かと付き合うということを考えたくないのだ。それがいつも屋上で昼を共にする仲の人であることは、必ずと言っていいほどそらのストレスとなるだろう。

 それだけは絶対にやめてほしい、、、。さすがにない、よね、、?


 さまざま考えながら心配をするそらの心情をよそに、うみはわくわくしていた。

「初めてやるからダンス楽しみだなー!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ