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海とミサンガ  作者: 深田おざさ
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全校集会ー谷崎勝吾(3)

『谷崎?』

「は?」

 勝吾は思わず声が出た。そらから連絡が来ること自体珍しい上に、集会中なのだ。彼女は勝吾と共に無断で屋上へ上がってはいるが、それ以外は規則など破らないのだ。そんな彼女がスマホの操作などもってのほかのこの集会中に、連絡をしてきたのだ。

「あん?」

 とこっちを見てきた関に何でもねぇと言って前を向かせ、連絡を返す。

『どした』

『私の兄貴がバッグの中にタバコ入れてきやがって』

『荷物検査あると嫌だから谷崎のバッグに入れといた』

「は?」

 勝吾はまた声を出す。

 ふざけんなあんにゃろ。

 と思いつつバッグを開けて探す。

『ねぇぞ』

『うそ?』

『マジで』

 勝吾のバッグの中にはタバコなど入っていなかったのだ。しかしそらはこんなちょっかいをかけてくるような性格ではないことは、勝吾が一番よく分かっていた。

『間違えて違う人のに入れちゃったかも』

 おいおい、、、。

 勝吾は焦って周りを見渡す。しかし自分の付近には動揺しているような人は一人もいない。勝吾は福本の位置を確認した。まだ1年生の荷物をあさっている。団長たちは順番決めで揉め、生徒はそれを見てくすくす笑っている。まだ時間はある。

『いつ入れた』

『谷崎が体育館入ってくる前』

『となりの人のバッグは』

 勝吾はとなりをちらっと見る。凛とした姿勢で座るうみが視界に入った。

『お前覚えとけよ』

 勝吾は舌打ちしながら送信すると、うみの方へ体を向ける。福本はもうすぐ1年の検査が終わりそうだ。迷っている時間はなかった。

「立花さん、、」

 勝吾は小声で話しかけた。うみは勝吾の方を向く。

「もしかしてさ、バッグの中にタバコとか入ってたりしない?」

「え、、、」

 うみは明らかに動揺した。勝吾はタバコの居場所が分かった安心感と、うみに最悪な覚え方をされたと思う気持ちで複雑になりながらも、経緯を説明しようとする。

「それ、俺の友達が、俺のバッグと間違えて入れちゃったタバコらしくて、」

「そ、そうなの?」

「ほんっとにごめん。それ、俺が持っとくから、バレずに出して」

「わ、分かった」

 うみは福本の動作を見ながらバッグの中に手を入れて何かを掴み、バッグの口が勝吾へ向くように倒した。そして手に掴んだそれを、素早くあぐらをかく勝吾の足の隙間に滑らせた。勝吾はそれを手に掴み、目にもとまらぬ速さで懐に入れた。

「ではみなさん、きりーーーつっ!!」

 勝吾が隠したと同時に、団長が全員ステージへ上がってきた。生徒はざわざわしながら立ち上がる。

「ありがとう。谷崎くん」

 周囲のざわめきの中でかすかに聞こえるほどの声が勝吾に聞こえ、思わずうみの方を見た。

「はい、おっけ。はい、おっけ。はい、、、」

 それと同時に福本のバッグ点検が目の前を通り過ぎ、うみのバッグが無事に点検が完了されたのを見て、勝吾はやっと安心し、2年3組の列を見た。非常に目立つ銀髪を見つけ、ガンを飛ばす。それに気が付いた彼女は、苦笑いをしながら手を合わせていた。

 あのやろ、今度なんか奢らせる。

 そう思っていると、後ろから折り返してきた福本が勝吾のバッグを手に取り、他の人よりも時間をかけて点検する。

「はぁい、おっけぃ」

 福本は勝吾の肩をぽんとたたき、前の関の荷物を検査し始めた。

「ま、マジであぶねぇ」

 再びホッとする勝吾をよそに、団長たちの決意表明が響き渡っていた。

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