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7.駆け引き

折れぬ鸞、レイモンドとどう対峙する⁉︎

 

 飛行機が小さな簡易空港に降り立った途端、ケガ人の手当に追われていた鸞の後頭部に銃口が貼り付けられた。目を覚ましたレイモンドが、少し苛立つように銃口を押し付けてきたのであった。鸞のポケットから奪い取ったか、手錠は最早外されており、レイモンドは楽しそうに鍵を見せると、それを放り捨てた。

「レディ、あまり御転婆は感心しないよ」

「パパにもよく言われるの」

 そんな軽口で応じながら、鸞は両手を上げてくるりとレイモンドの方を振り向いた。にっこり笑って見せても、流石にレイモンドの引きつった表情は崩れない。

「私をこれ程愚弄するのは、君が初めてだ」

「あら、パパとママに叱られたことないのかな? 」

 ゴフッと鈍い音を立てて、レイモンドが銃を持ったままの手で鸞の鳩尾に拳を叩き込んだ。思わず膝をついて転がり蹲る鸞の顔の側にしゃがみ込んだレイモンドが、声も出せずに呻く鸞の髪を掴んで顔を上向けた。

「いい子にするんだ」

「嫌だ! ここのみんなの治療をしてくれないのなら、悪い子のままだ」

「レディ……」

「今すぐ救急車を手配しろ、そうしないと……ディナーには付き合わない」

 そこへ、ぞろぞろと武器を手にしたスーツ姿の男たちが機内に乱入してきた。鸞に発砲しようと銃を向けるそれらの者達を目で黙らせ、レイモンドは鸞に頷いた。

「ちゃんと命じて。貴方に逆らうバカは、ここにはいない筈でしょ」

「我儘なレディだな……5分後に救急車を寄越すよう、南昌の劉病院長に伝えろ」

 部下の1人が、無言で頭を下げて出て行った。

「嘘だったら、本気で暴れるよ、僕」

 敵に囲まれながら、全く気後れせずに軽口まで叩く鸞を、レイモンドは熱を帯びた瞳で愛でた。

「初めて会った時、もっと儚い子だと思ったが……面白い、それでこそ、私が見込んだレディだよ」

「それ、やめてよ。僕、一応男の子なんだけど」

「君はレディだよ。可愛い、私のレディだ」

 掴んだままの髪を引き上げるようにして鸞を立たせ、レイモンドは鸞の唇を吸った。丹念に吸い上げられ、鸞が思わず瞼を半分閉じるようにして喉の奥を鳴らした。口を離したレイモンドが、その朱の差した顔に魅入られるままに目尻を下げ、再び優しく口を吸った。

「レディ、私の美しい御転婆さん。ちょっと大人しくしてもらうよ」

 レイモンドに抱き寄せられたまま、鸞は入ってきた部下に背中に注射を打たれ、後ろ手に結束バンドで拘束された。暴れる間も無く、鸞はぐったりとレイモンドの胸にもたれるようにして気を失った。

「桔梗原くん!! 」

 竹内が悲鳴をあげるも、無情に鸞はレイモンドに抱え上げられるようにして連れて行かれてしまった。男達もレイモンドの後を追いかけて去ってしまい、怪我人だけが機内に残されてしまった。

 


 

ランラン、とうとうレイモンドに食べられてしまうのか⁉︎

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