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とうめい探偵  作者: M.TOTTORI
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第04話 キックオフ

東名がタケミチの会社に着いたとき、辺りはまだ明るかった日に日に夜の時間が長くなって来ているが、19時を少し過ぎたぐらいではまだ空は白んでいた。

東名は出入り口が一望できるお気に入りの場所に立ち、会社から出てくる社員を確認していると程なくしてタケミチが出てくるのを見つけた。

寝坊をしなくてよかったとカバンの中の高性能なアラームに感謝をして、タケミチの少し後を駅に向かって歩き始めた。

前を歩くタケミチの足元が浮ついているように見えるのは気のせいだろうか、同じ男としてわからなくもないが、妻子ある者としてはどうなのかと考えてしまう。

東名が探偵業に就いて、最初に入った事務所の先輩と結婚観について話したことがあった。

その先輩曰く、結婚は打算と妥協を大切にして時には打破することも大事だと言っていた、確かにそうだなと東名は肝に銘じていたが、雄弁に語っていた翌年にその先輩は離婚をしてしまった。

その事も含めて探偵業を続けていると結婚について色々と思うところも出てきた。

とは言っても探偵に相談しにくる時点でどちらかかあるいは両方かに問題があるわけで、そうじゃない幸せな家庭もいっぱいあるのだろう。

そんな事を考えながら歩いていると駅まであと少しという所まで来た、駅に着いたらタケミチと同じ電車に乗り、降りた駅でタケミチの浮気の証拠となる写真を撮り、それを律子に渡して依頼終了。

それから律子とタケミチがどうなるのかは東名の知るところではない、二人には新しい人生が待っているかもしれないし、同じ道を歩いていくかもしれない。

それは二人と娘の三人で決める事で、東名から何か言うことではない、弁護士の知り合いは居るが斡旋するような事もしない、依頼が終われば他人、これも離婚先輩から教わった事なのであてに出来ないが、今のところは間違っていないと思っている。

小さくため息を吐き、信号待ちをしているタケミチの後ろに立っていると突然尻を蹴り上げられた。

それほど痛くなかったために、東名は声を上げることはしなかった。

タケミチが居るところで目立つわけにはいかないので、ナイフで刺されても声をあげたくは無い、もちろん刺されたことは無いのでそう思っているだけで、実際に刺されたらのたうち回るだろう。

蹴り上げた犯人は東名の横を駆け抜け、あろうことかタケミチに一直線に向かって行った。

さすがに声が出そうになったが、睨みつけるその犯人の顔に覚えが有った。

タケミチの腕を掴んだ犯人は作り笑顔でタケミチに話しかける、明らかに狼狽えているタケミチも作り笑顔で答える。

その犯人はタケミチの一人娘の碧だった。

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