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とうめい探偵  作者: M.TOTTORI


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第02話 長い1日

次の日、久しぶりに早起きをした東名はスーツで身を固め、調査対象者であるタケミチがいつも使っている駅まで早めに移動して、タケミチが来るのを待ち、同じ車両へ乗り込んだ。

東名は決まって尾行をする場合は調査対象者のすぐ近くで電車に乗る、満員電車で見掛けない男が一人増えたところでそれに気付く事など無いだろうし、駅のホームで2本ほど電車を見送っていたのだが、それも後から来たタケミチには判らない事だ。

人波にごった返す通勤電車の中で浮気相手の女性と接触するとも考え辛い事だが、東名は依頼の度に同様にしているため、嫌々ながらも人波に溺れていた。

タケミチの勤める会社は地下鉄を乗り継いだ郊外にあり、辿り着いた駅で東名はいまだ満員の地下鉄に悪態を吐きながら流れに身を任せて駅を出た。


東名はタケミチの会社までの道のりを確認を済ませると、あらかじめ調べておいた会社周辺の公園へ行きベンチに座り缶コーヒーで喉を潤した。

昔ならば地図を買ってにらめっこをしながらペンで書き込んでいたのだろうが、今は時計と電話とカメラと地図と暇つぶしがセットになったものが誰でも手に入れることができる、当然東名もそれを持っている。

真昼間から公園のベンチで地図を片手に何やら書き込みをしていると不審者に見られても仕方がないが、今はスマホ片手にサラリーマンが時間潰しをしていると思われるだけだろう。

東名が今日の予定をこなしているとバッテリーの残りが心もとなくなり、それと時を同じくして腹の虫も騒ぎ出した、珍しく早起きをしたので朝食の時間も早かったため、いつもよりも早くぐずりだしたが、昨日調べておいたお店は人気店なので、少し早い方が空いているため予定通りといえた。

評判通りの料理に満足をした東名は、タケミチの退社時間までにかなりの空き時間が有るため、削られた睡眠時間の補填と充電のためにネットカフェを訪れ、あまり寝心地が良いとは言えないゲーミングチェアに横になるとすぐに夢の世界へ旅立った。

異世界の魔王を倒したころにアラームに叩き起こされ、大きく背伸びをした後で個室を出て、清算とポイントカードに判子を貰い店を後にした。

タケミチの勤める製薬会社から定時で退社してくるのは一人もおらず、再び腹の虫が暴れ出したのを買っておいたパンで凌ぎ、ひたすらタケミチが出てくるのを待った。

窓の明かりが一つずつ消え始め、ようやく待ち人が出てきたときにはかなりの時間が経っていた。

再びタケミチの後を付いていき地下鉄の一緒の車両に乗り、十分な間隔を空けて自宅まで尾行をして、タケミチが玄関をくぐるのを見届けて東名の長い一日は徒労に終わった。

月曜のこの時間は律子はスポーツジムへ出かけており、2階の明かりは娘の部屋だろう。

1階の明かりが点くのを背中で見届け、東名も家路に付いた。

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