異世界で目が覚めたらゾンビだった、これは転生なんだろうか?
私はゾンビである・・名前はまだ無い。
元がどこで産まれたのか、そしてどうやって死んだのかすら憶えていない。
手・足、顔・腹、乾いたような腐ったような体は死体その物。
真っ暗なトンネルのような風景をただ進み、土穴を抜けるとそこは墓場だった。
月明かりか?オレを起こしたのは。
それとも生前の恨みだろうか、それすら解らない。
[ソンビは激怒した!]悪戯に起こされ、わけも解らず起こした存在に。
ユルセンティウス!私はお前を許さない!
だから待っていろ、きっと生き返りそして貼り付けにされよう。
だから済まない親友は・・いないので空の十字架に誓い私は帰ってくる。
さあ城門を開け、私は行かければならないのだ!
・・・・・
「なんて言った物の・・これからどうしよう・・」
行く当ても無ければ帰る家も無い、還るのは土だけだ・・・
死にたく無い、死にたく無いよ~~だって折角産まれ?たんだから、
そんな数日で天に召されるんて不幸だ!不幸過ぎる。
妹の結婚式に戻る家も無ければ、他人を信じない暴君もいない。
有るのは・・なにがあるんだ?
まあいいか、生きていればその内良い事だってあるだろう?多分。
差し詰め切迫した問題は・・・生きる目的だな。
まず、オレが這い出た墓穴を確認。「なんだよ!名前すらねぇのかよ!」
墓石すらどこで拾って来たのか崩れて形もボロボロ、立てているのかすら怪しい。
まぁ名前なんて無くても、生きてい行けるから別にいいけど。
服もぼろぼろ・体もボロボロ、正に身も心もボロボロって訳だな?
・・・・ん?
「よう!お前も起されたのか?災難だなおい!」
暗闇を歩く影に、おはようの挨拶をしよう。それが人付き合いの第一歩だ。
ヒッ・・「バケモノだ!!!」
黒い影は明かりを放り出し、飛び上がって逃げて行く。化物とは失礼な!
ヤレヤレ、こんな真夜中に明かりも無くして。足元が暗くて転んだら怪我するぞ。
親切なオレは明かり付くランタンを掴み、墓場のクマさん宜しく後を追う。
ある日ー・墓場の中!ソンビさんに・出ぁ会った!
仏花咲く墓の中~~~ゾンビさんに出ぁ会った~~
やたら早い叔父さん?チョォットォ・お待ちなさい~
「喰っちゃうよ?」
・・・・ぎゃぁぁっぁぁぁーー!!!!
「倒れた!冗談の解らない叔父さんだなぁ」
元人間?のオレが人間なんて喰う訳ないだろ?食って良いのはクジラまで。
誰かに言われたような・・そうでないような。
月が明るい、この叔父さんは道の脇に置いて置くとして・・・
ランタンを拾ったお礼に上着を戴くよ。
ゾンビだって上着くらいはまともな物を着てもいいはずだ。
解った事は、オレはどうやら走れるゾンビらしい。それも息も切れず疲れも知らず。
息も切れず・疲れも知らず、丈夫な体を持ち、欲は無く・・太陽、アレは駄目だ。
日照りが駄目・・墓場を畑にするのは駄目っぽい。
(あ~あ、便利な体だと思ったんだけどな)以外と不便だった。
考える時間は、多分ほかの人よりはある。西に泣いている子供はいないようだし、東で喧嘩している人もいなそうだ。
なら取り合えず北か南だ、冬は来たに、ならず者は南にってね。
(北か・・寒く無いと良いんだけど)
寒さは感じないから路上でも眠れるけど、凍死体と間違われるのはごめんだ。
北と言えば出稼ぎ!派遣!期間工!仕事ならあるんだ。不眠不休で働ける体を有効活用しなくてどうする!・・・ゾンビだけど。
(まぁ、大体そのあたりの工員は死んだような顔しているって聞くから・大丈夫だろ)
そうだなぁ、それでも住所不定・生存不明だから服と頭くらいはましにするべきだ。
その為には働いて金を・・?金を得る為には服と格好を小綺麗に。
格好を小綺麗にするには金が・・・・おぅ!?ゾンビ脳には難しい問題だ。
そこん所を解決する為には・・・そうだな、どんな問題だって時間が解決する・・
らしい。ともかく今日の所は墓場に戻って、考える人の格好をしていれば何か出てくると誰かが言った。例えばウン、とかな。