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炎上舞台  作者: 一桃 亜季
13/25

貴族と人

この章はちょっと早めに投稿します。

次が押しているので、気張って進みます。

応援よろしくお願いします。


偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」


シリーズの4作目になります。

        ※


 リンフィーナを寝台に休ませた後、ラディは弟とその育ての親から、質問攻めにあっていた。二人が口にする質問はこぞって、誘拐してきたのか、という失礼な詰問だった。


「そんなわけないのに」


 こんな風に言われて、今更ながら、二人から自分がどう見られていたのか、頭をかかえたくなった。確かにこの地に居たときは、男に生まれなかったことが悔しくて、男勝りな悪事というものはすべてやってのけた。漁師仲間からも影のボスと言われて、恐れられていたことを自覚している。


「馬鹿なこと言わないでくれ、さすがに貴族を誘拐したりなんかしない」


 ラディは頭を抑えながら呻くように言った。


「私は今、ラーディアの傭兵であり、かの姫君の養育係りなんだ」


 とんだいいがかりだと不平をもらすが、目の前の二人は、しばらくはなかなか信じようとはしなかった。理由の一部始終を話し終えるには、一刻ほどの時間を要し、やっと説明し終えた頃には、二人はすっかり涙ぐんでいた。


「可愛そうだよねぇ」


 同情的になる二人に、ラディはうなづき、だからといってそんな視線をあからさまに彼女に向けることを止めるようにいった。


勝気な姫君にはプライドがある。本来ならばもう立ち直れないくらいに、リンフィーナの心は傷ついていただろうが、彼女はラディの前ですら気丈に振舞っていた。同情などされて、嬉しいはずがないのである。


「わかったよ。おまえの気の済むように、ここに置いてあげな。いまじゃこのクロムが稼ぎ頭なんだから、何の遠慮もいらないよ」


 アイリナの言葉に、ラディは胸を撫で下ろした。


「ありがとう」と頭を下げる。


 若いときはなぜこんなにもこの家に反発してしまったのか、ラディは自らの幼さを思い、懐かしさに目を細めた。

「炎上舞台13」:2020年10月21日

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