草原の魔王と魔王の祖先5
「このエアーボードって いいじゃない!」
「面白れぇ 乗り物だな」
エアーボードはハーパーが造ってくれた。
作り方はわからないけど、ドワーフさまさまだった。
途中で水位が増えたり急な上り坂があったりしたけど エアーボードは機動性がよくて
お城の城壁が見えるところまで行くことが出来た。
城壁があり その下には水路が流れている。
しかし いよいよ城に潜入というところだけど 入口は一つしかない。
城壁に穴があり、そのトンネルからお城の水が滝のように流れ出ている場所があった。
エアーボードで駆け上がるには出力が出せる俺か体重の軽いエルフのミーフしかいない。
「早くぅー こっちよ」
ミーフが滝のような水をエアーボードで駆け上がってしまった。
マイクとハーパーは 滝の周りをうろうろし始めたけど 二人にそこからの侵入は無理だろう。
戻って別のルートを考えようと 伝えようとした矢先に。。
「おい いたぞ!!」
見つかってしまった。
どうする?
「トシユキ お前はミーフちゃんと行け! 俺とハーパーは
このまま逃げて 草原のみんなを避難させる。大丈夫さ。
エアーボードなら警備船をすり抜けることもできる。
これが終わったら、また 葡萄酒を一緒に飲もうぜ!」
すると マイクが飛び出して兵士の注目をひきつけ始めた。
「こっちだぜ!! こっち!こっち!」
マイクたちは そのまま兵士をひきつけると違うトンネルへ潜っていってしまった。
葡萄酒は持ってきてはいたのだが 昨日はさすがに飲む気にはなれなかった。
これが終わったら 昨日の分もまとめて一緒に飲もう。
「うりゃー!」
兵士たちがいなくなった隙に トシユキはエアーボードの出力を全開にして滝に突っ込む。
水流が船に重くのしかかる。
船を水の中に 叩き込もうと力がかかってくる!
水は 精一杯、押し下げてくる。
「まだまだ!」
トシユキはエアーボードに さらなる力を込めた。
「ドン!!」
水から船体が 上に跳ね上がり トン。トンとジャンプした。
「ブシャ! 」
水しぶきが上がった。
ミーフとは違い 乱暴だったが力技でなんとか城の中に潜入することが出来た。
「あなた、やるわね! 二人なら大丈夫。私たちも兵士から逃げるわよ」
俺たちは 城の水路を進んだ。
・・・・
「ギュルルル」
兵士が進入路を封鎖するために水門を切り替えると
真っ暗なトンネルに水が流れていく。
でも トンネルの奥のほうで水の音とは違う 何かの音がした。
「この水門を切り替えると、ときどき変な音がするんだよな。
まあ いつもの事か・・ ブルブル さあ早く帰ろう・・」
・・・・
城の中の水路は 街の水路よりもずっと汚れており壁にもヒビが入っていて
手入れがされていない感じだった。
「水が増えてきてない??」
さっきまで流れていた 水路の水が見る見る増えていく。
水門を切り替えたのだろうか?
なんで? それは 侵入者を外へ押し出すためか!
俺たちは 上がれる場所を探して進んで行った。
水が増えて 船が持ち上がり天井がどんどん 低くなっていく。
「ギュルルル」
変な音がした。
「あはは 何、今の音。このお城も、もしかしてお腹が空いているのかしら!」
ミーフもお腹空いてたのか?
いや それどころじゃない。
ん?!
水路の天井に穴が見える・・・あれはハシゴか!
先を進むと 上に上がれるハシゴがある。
ミーフはハシゴに飛びついて右手でハシゴをつかんだ。
そして 登り始めようとするがうまく登れない。
「ゴン ゴン!」
引っかかる。引っ張っても引っ張っても 引っかかって無理なようだ。
そうこうしていると
天井がトシユキにさらに迫ってくる・・ もう立った姿勢ではいられない。
「ここでエアーボードとはお別れよ」
煙突のような 狭い穴ではエアーボードを持って登るのは無理だ。
身軽なミーフは エアーボードを離すと、スタスタとハシゴを駆け上がって行ってしまった。
トシユキは しゃがみ込むように水と天井の間をエアーボードで すり抜けて
ハシゴをつかんだ。
流されなくてよかった。それにしても長いハシゴだな。
3階か4階建てくらいの高さがある。
ハシゴを登っていると ときどきミーフのパ××が見えるけど俺は気にしない。
それよりも パ××が見えたからというわけじゃないけど
マイクに「ミーフちゃんとお城に潜入してどうだった?」とか聞かれそうだし、
それとなく情報は集めておいてやろう。
ハシゴを先に上がったミーフが 俺に手を差し伸べてくれた。
友情の握手のように感じた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
唐突だけど 聞くなら今がいいだろう。
「なあ ミーフって気になる人はいないのか?」
「さぁー なんでそんなこと聞くの? あなたまで!
言っておくけど、私は ヒューマンには興味ないわ。」
ああ そうか。エルフは容姿がいいから、
色々な人から同じようなことを聞かれている。
だから トラウマになっているな。
だって俺、お見合いを進めてくる、親戚のおじさんみたいな感じだしね。
「いや 深い意味はないんだ。
俺ってうるさい奴だろ? 色々な人に同じことを言われているはずなのに
考えなしに言葉が出てしまったよ。すまなかった。」
「考えなしではあるけど、あなたが気にすることないわ。
マイクの友達だし特別よ。
それに 私だって仕事先で、「考えなしに!!」って言われちゃうから気持ちはわかるの。」
何とか なったみたいだ。
さてと 早くここを出て、メテオストライクを止めに行きますか!!
トシユキたちがハシゴを上がってみると 殺風景な粘土の部屋があった。
外に出られる扉は 頑丈な鉄の扉で何年も開けていないのかさび付いている。
おそらく鍵があっても すぐには開けられないだろう。
扉以外には出口もないし 粘土の隙間のない壁に囲まれて、圧迫感がある。
下の水路も塞がれているから 空気も限りがあるのだろうか・・わからない。
でも 兵士に追われているのに 閉じ込められたなんて二人が考え出したら
きっと心臓の鼓動が早くなってしまうことだろう。。
「困ったわ。閉じ込められたみたい。 もし戻ってもまた あの水路に戻るだけね」
ここまで来たのに戻る羽目になるのだろうか?
でも 戻ったら兵士が待ち構えていることだろう。
なんとか 進むしか方法がない。
そんなとき トシユキが口を開いた。
「仕方がないから 壊して進もう」
トシユキは 扉の横の壁に立つと全身にエナジーをまとった。
それを拳に集め始めた。
「獣王拳!!!」
壁が拳に吸い込まれるように陥没し、そして「ドッカン!!」と壁に穴が開いた。
ミーフは目を丸くした。
トシユキの拳の音と衝撃に心臓の鼓動が止まってしまった。
「トシユキ あなた 頼りになるわね」
落ち着いてしゃべり出すと 口が乾いている。
そして 急に動き出した鼓動はミーフの全身に大量の血液を流し込んだ。
ミーフの体は熱くなった。
「なんだ ここは牢屋じゃないか」
トシユキたちが進んだ先は 以前トシユキが囚われていた牢屋につながっていた。
牢屋の階段を上ってくと ミーフが囚人に駆け行っていく。
あっちへ。 そっちへ。駆けて行って話を聞いている。
なんだろう?
俺も牢へ近づいてみると「助けてくださるのか?感謝する」と言われたけど
今、助けるみたいな感じになってる。
多分 この人とかは貴族で,王族派の人だったりするかもしれないけど
俺たちと一緒に行動してもリスクでしかないぞ。
「何だ! お前は! 牢屋破りめ!!!」
ミーフの先導で兵士が数人こちらへ 走ってくる。。
「失敗したわ!あとは、あなたに任せるわ!!」
「おい 待て! とまれ!!」
兵士が 迫ってきてミーフに手が届きそうだ。
「エナジーランス!!」
トシユキは 兵士を気絶させた。
兵士は 檻の鍵束を持っていたので ミーフが牢を開けていく。
トシユキは 手に汗をかいていた。
「いきなり 兵士を連れてくるから驚いた」
「あら あなたなら、このくらいできるでしょ?」
でも ミーフは済ました感じで言い返した。
そして鍵で牢を開け続けていった。




