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真っ赤な葡萄酒2

「さあ モルさんたち今日も頼んだぞ!」

「プイプイプイ!!」


草原では トシユキたちが綿花の種をまいていた。

以前は焼き畑農業をしていたのだが もっぱら今は食欲旺盛なモルモットたちが活躍している。


小っちゃいのから大きいのまで草原へ駆けだしていく。

思い思いの草を見つけては 食べていくモルモットたち。

長く伸びた草だって木を伐採するかのように かじって倒していった。

緑の草原は モルモットたちによって緑の肥料へと、どんどんと変えられていくのであった。


トシユキたちは モルモットたちの後に続いて綿花の種をまく。

すると マリアと一緒に来たエレナが水を飲もうとリュクからコップとブドウを取り出した。

「ジーー!」

エレナは コップを見つめるとリュックにコップを戻して行ってしまった。

さて どうしたのだろう?


仕事が進んで 休憩のころ合いになってきた。

「ふぅ~ そろそろ、休憩にしませんか?。ん?」

マリアが休憩しようと トシユキのリュックの中から、おやつとコップを一つ取り出す。

「ジー!」

マリアは コップを見つめて微笑んだ。

リュックに戻して休憩の準備をしはじめた。


「さて 水を飲んでもうひと頑張りするか」

マイクは リュックからコップを一つ取り出した。

何か、重い。中身を覗き込むと・・・「これは無理だな」と言って、コップをリュックに戻してしまった。


みんなが リュックからコップを取り出しては 元に戻してしまう


今度はトシユキだ。

水を飲みに来たトシユキはリュックを開いた。

「ビョン!ドサ!ドサ!」

リュックからなんと モルモットが 飛び出した!!

そしてどこかへ行ってしまった。


さらに コップを取り出すと・・・

コップにモルモットが詰まっている。ギュウギュウに詰まってスヤスヤ眠っていた。


畑仕事の合間に どこかから入ってきたようだ。

「リュックの中は居心地がいいから 入ってきたのかな」

トシユキは 眠っているモルモットたちをそっと リュックにもどした。


リュックに目をやると 以前、女神様が入れてくれた三輪の花の刺繍の上に

星が三つずつ付け加えられている。

さて 何ができるのか?楽しみだ。


「さて 今度はブドウだな」

トシユキは お昼を食べるとブドウの畑へ向かった。

異世界に来たばかりのころは 火魔法の実験で偶然できた畑だったけど

今は以前よりも広くなっていて ブドウの棚からは青いブドウの実が下がっていた。


「よう マイク!」

先にブドウの仕事をやっていたマイクと 一緒にブドウの手入れをしている。

仕事をしながら街の様子を話しを聞かせてくれた。

街は以前よりもさらにモノが高く売れるようになり

外国からベーレ国に入ってくる人たちもかなり増えているそうだ。

活気があってよさそうなのだが でも・・

「ミーフちゃんとハーパーも仕事が見つからなくて・・」

前に街で仕事を探しに来ていたエルフとドワーフの二人の話をしていた。

一時は仕事を見つけていたらしいのだが今はまた 仕事を探しているので

ときどきマイクが仕事探しを手伝いに行っているらしい。

品評会で優勝でもできれば「ワイン協会」の人たちのように 雇うこともできるのかもしれない。


・・・・

「ワイン協会 予選通過です!!」


やっぱり ワイン協会の葡萄酒は今年も優勝間違いなしですね

「みなさん ありがとうございます~」

ワイン協会の人たちは みんなに手を振っていた。

一歩 後ろにスラリと立っている秘書のエルフが彼らをいっそう引き立てて見せていた。


・・・・

一方お城では 今日も宴の会が開かれていた。


「さすがワイン協会ですわ、予選を一番に通過したそうですわ」

「そうですとも、私の目に狂いはないのです。優勝してもらわなければ、

2位や3位の葡萄酒を飲んで1年を過ごすなど 考えられませんからな。ははは」


「ところでトシユキの葡萄酒は飲まれましたか?

こないだ使用人が飲んでいたので飲んでみたのです、フルーツのような新しい味でしたわ」


「新しい味ですか・・困りましたな。本選に来るようならば手を打たねば・・。」


「話は変わりますが ベーレ国から「火山と温泉町ミクロネーゼ」へ行く途中の話はご存じですか?」

「ええ 報酬が安いのでモンスターの駆除の依頼を冒険者たちが断り始めているという話ですな。

しかし 安い賃金では誰も命はかけますまい、私も 風車を止めましたからな。」


「風車を止めたのですか?」


「ええ 小麦を引くための料金が少々高くなりすぎましてな。

外国から小麦を持ち込むものが いなくなったのです。

ですが むしろ好都合。人を雇って高い賃金を払うよりも、

小麦などを買って 値上がりを待っていたほうが、よっぽど儲かりますからな。」


「お金でお金を稼ぐ時代ですものね。ほっほっほ」


・・

王の間では。


「大臣よ。天の施しのおかげで我が国は潤った。

しかし 貧しい民が増えいると町に住んで居るサリーちゃんが申しておったが、何か手を打たずともよいのか?」


「王様、それは一時にものにございます。

自然に成り行きをゆだねることで お金持ちはお金を手にします。

そして、貧しいものを雇うようになり、みなが幸せになるのです。

これを 私は「神の見えざる手力」と名付けました」


「そうか金持ちにお金が集まれば、お金を沢山使うというわけか。よい方法じゃ

ではわしは サリーちゃんのところへ、このことを知らせに行く。

夕飯はいらぬぞ。 わしには卵焼きが待っておるからな。うひゃひゃひゃ・・」


「はぁ 行ってしまわれたか。。随分と痩せたな、アホ王様。

普通の卵焼きの何がよいのやら 全くわからん」


・・・・


「アイスクリームとは そんなに美味しいのか?いつ食べられる?」


勇者は死神にアイスクリームのことを話していた。

アイスクリームの魔力はすごい、女性はみんなアイスクリームが好きなのだ。


「すぐにとはいきませんが、港バザーでいいアイテムが手に入りましたので、あとは材料が手に入ればできると思います」

「またアイテムを買ったのか?懲りないヤツだな。では 完成したらお前の腰を蹴ってやろう。マッサージだ」

「はひぃ ひひぃ 頑張ります。。」

勇者は死神のために 牛からミルクを絞り汗を流した。


「・・気が進まないが、やっぱり 頼みに行くしかないな。。。」

そして トシユキのところへやってきた。


「なあ トシユキは前の世界で農家をしていたんだろ?

死神様のために俺は 死んでもかまわないから、だから生クリームの作り方を教えてくれないか?」

勇者は頭を下げた。小指の痛みで内股になってカッコ悪く見えた。


勇者はアイスクリームの作り方は知っていた。

しかし 街で調達する原料では元の世界で食べたような味にはならなかった。

そこで トシユキに頼みに来たのだった。


トシユキは 勇者の肩に手をやった。

「勇者は大げさだな。街で小麦が手に入れてからモチ米と合わせてみたんだ。そしたら水飴が作れた。

生クリームを使うなら砂糖も欲しいだろ?」

二人の目と目が合った。


「はひぃ 厳しくお願いします」

こうして勇者は トシユキの元で色々と教わることになるのだった。




草原では綿花の花が咲き始めた頃。


今日もトシユキたちはブドウや綿花の畑仕事に汗を流していた。

「さあ お昼にしよう」


トシユキは リュックの中から「ふかふかパン」を取り出した。

以前 お城から脱出したときに声をかけた人たちの中にパン屋さんがいた。

ベーレ国でも「ふかふかパン」といえば、ちょっと有名なパンだった。

草原に引っ越してきてくれたから早速 パンを焼き始めたようだったが、これが大好評!

ベーレ国まで行かなくても焼きたての美味しいパンが食べられると草原に暮らしていた人たちからも

歓迎されていた。

しかし、このパン屋は ただモノじゃなかった。

ゴブリンパンやキツネパン、カエルパンなどなど魔物や動物たち用のパンも開発し始めた。


「また 食べに来てくれたんだね。ほーら キツネたち キツネパンだよ。」


するとどうだろう。

動物たちにも人気になった。 

そして動物たちからも木の実などの色々なものがヤーンさんの家に

届けられるようになっていった。



一方 街ではトシユキの出品した葡萄酒の品評会の結果がわかるころになった。

トシユキは 葡萄酒づくりや綿花の栽培で街へ行くことはできなかったので

代わりに マイクがベーレ国に野菜などを売りに行っていたのだった。


「早く知らせてやらねぇとな。ミーフちゃん。。いや 今回はごめん」

マイクは 船を走らせた。

・・・。

・・。

しかし 船のスピードがどんどん 緩やかになっていく・・。

運河は広いと言っても 船が止まっていては魔物に襲われてしまうことだろう。。

「船底に水が!」

マイクは 船が遅くなっている原因を見つけた。

船の底に小さな穴が 開いている。

「ドボーン!」

マイクは 船底に潜って穴をふさいでから 船の水をかきだした。

マイクは草原へ帰っていった。

・・・。

・・。


「トシユキ! 本選・・・出場決まったぞ!」

「やった!」


知らせを聞いたみんなが 軽くこぶしを握ったりうなずいたりしていた。

会場では、この新しい葡萄酒の味は「この世の味ではない」と高く評価されていたという話だった。

予選はすんなり通ってしまった。

何も起こらなければいいのだが・・。

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