お金よりも大切なもの
あのとき見せた姿は確かに人の姿ではなかった。。
「あ~あ。 やってしまいましたね。悪魔だったなんて・・。」
「知ってたの?」
「いいえ 知らないです。ですがあの教会ではある日突然、聖水が片付けられてしまったのです。
・・・・です。」
クーダ教会では 聖水を置かなくなってしまい、マリアがバケツに聖水を作って
神父に渡そうとしたら、急に破門になったのだという。
どうして 神父が聖水を避けるようになったのか?知りたかった。
そして 一緒に教会に入った仲間が少しおかしくなったり、
子供たちを客寄せパンダのように使ったことで口論をすることになり
自分が兵士に捕まってもいいので 悪いこととは思いながらも
神父に聖水をぶっかけてやりたいと思ってしまったらしい。
俺たちは 子供たちを送り届けてから宿屋に戻ってマイクと会うことにした。
神父は王様の信頼を得ているので、王様か大衆の面前で神父の正体を暴く必要があるかもしれない。
草原の拠点に被害がでないのなら 食堂の人たちに草原へ引っ越してもらうというのも手だろう。
俺は城の兵士でも勇者でもないのだから。
「おう トシユキ 大変なことになったぜ!ケロ子が捕まった」
宿屋の入り口にマイクが待っていて
さっき 兵士が来てケロ子を連れて行ったらしい。
でも どうして?
「雨の日に お城の城壁に登っていたという目撃があったんだ。
城内へ侵入しようとしていた疑いがかけられた!!」
「それ カエルだから!!」
粘土で作ったツルツルした壁だから登ってみたくなったのだろうか?
俺は急いで 兵士のいる詰所へ走った。
「お前が トシユキだな。先ほど自供したぜ。ゲロってな。
そして ここにある人相書きともそっくりじゃないか。飼い主であるお前にも当然、牢屋へ入ってもらうぞ。
お前は城で神父様が立ち合いの元での取り調べとなっている。よかったな。さあ こっちへ来い!!」
彼らは エリート兵士らしくカエルの言葉がわかるらしい。
人相書きも悪人ずらのカエルで全然似ていなかったのだが 問答無用でトシユキはお城の地下牢へと連れていかれることになった。
「ここが元魔王城か・・」
城や庭園は魔王城の面影はなく 庭園は植木が迷路のように植えられていて
城壁は奇麗なクリームがかった白色で扉などに施されている装飾も立派なものだった。
しかし 城に入ることはできづにそのまま 地下牢へと連れていかれた。
牢は 少し湿り気のある薄暗い場所だった。
鉄格子も粘土だったらよかったのだが さすがに鉄でできているようで出られない。
「大人しくしていろよ!!」
トシユキは放り込まれて 扉に鍵をかけられてしまった。
そして鍵は 鉄格子の向いのテーブルの上に置かれている。
ケロ子はいないのか?
神父もやってくるし 早く逃げなければいけない。
「ようこそ 新人」
牢屋の中には 俺よりも先に捕まったグリーンのローブを被った男がいた。
ロープの男はパンの品評会での優勝者だったのだが、教会の神父に新作の聖水で練り上げた
聖水パンを持って行ったところ、神父の機嫌を損ねて牢屋に入れられてしまったのだという。
捕まってから何日経ったのか・・ やつれているようだった。
しかし 牢屋の隅にパンが積まれている。
「こんなのはパンじゃない。 固くて臭くて食えたものじゃない・・」
ローブの男は 言葉を吐き捨てた。
彼は パン職人としてのプライドがあり食べることはなく、食事で与えられるパンには一口も口を付けずに牢屋の隅に捨てていたらしい。
そして そのパンをネズミが狙ったのだろう。。ネズミの魔石があった。
「ここを脱出して 草原で暮らしませんか?うまくいくかわかりませんが・・」
気が狂ったのかとハニカム男だったが トシユキはパンをローブの男からもらうと
ネズミの魔石から ネズミたちを復活しさせ始めた。
何匹か復活させて 鍵を取ってくるようにお願いするが
お城に住んでいたドブネズミを説得するのは難しい。
みんな逃げだしてしまった。
そんなとき
「ファンシーラットの魔石があるじゃないか」
【ファンシーラット】
クマネズミ属
ペット化されたドブネズミ。
しかし ペットとして飼われているネズミ種の中でも頭がよく。
そして、人なっこい。
ネズミの魔石の中に運よくファンシーラットの魔石が入っていた。
三匹のファンシーラットを召喚した。
チビが一匹に大人が二匹、どうやら親子のようだ。
トシユキの指に自分の顔をこすりつけてきた。
「おいおい あんた何者なんだ?」
「今見ていることは秘密にしてください。
ネズミを復活させたなんて話しをしても笑い話でしょうけど」
トシユキが「さあ お前はチュー太だ。頼んだぞ」と牢屋の格子からファンシーラットを出すと
まっすぐ テーブルの上に登ってテーブルの上のものを片っ端から落とし始めた。
「ガシャ」
鍵の束が床に落ちた。
鍵の束は 鉄格子からはまだ遠いが
「うるさいぞ!!」
鍵よ束が落ちた音が聞こえてしまったようだ
ファンシーラットたちが 怯えて戻って来てしまった。
「よしよし よくやってくれたな。
ここからうまく出られたら一緒に草原で暮らそう」
トシユキはネズミたちの頭をなでた。
「でも 鍵はまだ向こうだぜ。どうする?」
「あとは何とかするさ。エナジーランス!!」
トシユキはエナジーランスを出現させると鍵束の輪っかにランスを通した。
・・・。
しかし エナジーランスは元々オーラなので、
鍵束は少し持ち上がるとランスをすり抜けて落ちてしまう・・。
何度か繰り返すがUFOキャッチャーのように鍵束は
エナジーランスをすり抜けてしまった。
「チュウチュウ」
そのとき
再びチュー太が飛び出して鍵束を引っ張り出した。
でも 一匹じゃ 力が足りない。
輪っかを加えて全身でグイッグイッっとバックするが 動かない・・。
「ジャリジャリ・・」
チュー太の勇姿を見たお父さん、お母さんラットが手伝って
ジャリジャリ・・ジャリジャリと鍵を引っ張ってきてくれた。
「おいおい ほんとかよ! よし草原に行ったら俺が特別にお前たち用のパンを焼いてやるぜ!」
「チュウチュウ」
ローブの男の言葉にファンシーラットたちは 喜んで飛び跳ねていた。
「そういえば うちの拠点にも前にパンが・・・」
トシユキは 何気に草原で復活させたヤーンさんのことについて話をした。
「ヤーンだって!本当なのか?」
実は ローブの男はヤーンさんの夫だったらしい。
そして 鍵を手に入れたトシユキはローブの男の話を頼りに神父に捕まってしまった
鍛冶屋や道具屋の人たちを助け出していった。
「助かりました。 毎日 ムカデやネズミに怯えて暮らす日々でした。
ですが。。私たちには帰る場所がもう。。」
「草原に引っ越してきませんか?」
トシユキが下流の草原に街と教会を建てるという話をすると何人かの人が
興味を示してくれた。
牢にケロ子がいないかと探してみたのだが ケロ子の姿はなかった。
「さあ 逃げましょう」
トシユキは エナジーランスを出現させて 兵士を警戒しながら先頭を走る。
地下牢を脱出して庭園に出たとき そのとき、そこには兵士長と兵士たちが待ち構えていた。
「神父様のおっしゃったとおりだ。お前たち、処刑されにのこのこ 出てきたのか?」
トシユキは エナジーランスを構える。
一人なら何とかなるが この人数を相手に街の人たちを守り切れるだろうか?
そして 兵士長が持っている鹿の角のような剣は おそらく魔剣だろう。
トシユキは 兵士長に突進した。
兵士長を無力化して 兵士たちがひるんだすきに庭園から脱出するために。
「魔剣ボルス!!」
【魔剣ボルス】
剣の斬撃に強力な打撃攻撃が追加される。
繰り出すツキは、重装兵士数人を吹き飛ばすほどの威力。
トシユキのエナジーランスは弾き飛ばされてしまう。
だが トシユキは左手に小さなエナジーランスを出現させてそのまま
兵士長を貫いた。
「ランスは 何本でも出せますから」
兵士長はうずくまり 後ずさりを数歩すると 体が急に震えだした。
そして 人の倍の大きさの魔物「悪魔の兵士」に変身した。
数人の兵士も魔物に変身して「悪魔の使い」になってしまった。
「あわぁぁぁ」
人間の兵士たちからどよめきの声があがる。
なんと 兵士の中に神父の使い魔が紛れ込んでいた。
敵の数は減った。 だけど 敵は格段に強くなっている。
しかも そこいらの魔物よりも頭がいいだろう。
「ギュルルル」
どうやら 全員でトシユキに襲い掛かるようだ。。
「ファイアボール!!」
「ヴォオォォ・・」
あれは剣?
そして 少女??
素性の明かせないと言っていた少女が現れた!
剣をグルングルンと振り回してファイアボールを生成して放っていく。
トシユキも 使い魔たちにエナジーランスを振るい魔物を倒していった。
「どうして魔法使いさんがここに?」
「私の名前はエイミーよ。
お父さんを探すために仕方がなくよ。この事件を解決したらきっと見つかる気がするの。
それよりも 神父が王女を利用しようとしているなら
王様がいらなくなるわ。王様の命が危ないんじゃないかしら?」
ケロ子のことは兵士たちは知らないという。
俺たちは 王様の元へ向かった。
途中で話をすると エミリは「ああ あれはただの剣よ」と言って何を使ってもファイアボールを生成できてしまうと説明をしてくれた。
港のバザーで 怪しいおばあさんからロッドを買ったのだが数発魔法を撃ち込むと
所持金がゼロになってしまう効果が付与されていたロッドらしく、お金がなくて装備が揃えられなかったのだとか。
・・・・・・
「これが わしなのか?」
「そうでございます。そのりりしいお姿こそが王様にふさわしい。
さあ もっと夢の中へお入りください・・」
「うむ。 なんと 街娘がわしに見とれておるではないか。これは愉快、愉快」
「さすが 王様でございます。ささ もっと 夢の中へ、魔石の中へお入りください。。
今の醜い体など捨ててしまわれればよいのです。」
「うん・・あの体か。じゃがな。。。 そうじゃな、あの体は醜い。
このりりしい姿で生きていくほうがずっと 人生が楽しいかもしれぬ・・」
・・・。
王様の体も 簡単に手に入りそうだ。
この体には どんな使い魔を入れたら面白いことになるだろうな。。 ククク・・
・・・・・・
「あれが 王の間の扉ね」
俺たちは 王の間の扉を開けた そこで目にしたものは宙にプカプカ浮かぶ王様と
神父の姿だった。




