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おかしなスープ屋さんジョン3

「ところで ジョンのそのペンダントは女性ものに見えるけど・・・・かな?」

「ああ これか? これは俺の大切な人の魔石の入ったペンダントなんだ。

カージョって名前で この店でベーグルを焼いてくれていたけど俺が苦労をかけたせいで・・・」


ジョンとカージョさんは 二人でこのお店を始めたらしい。

カージョさんの焼くベーグルのおかげでコツコツと売り上げを上げていたのだが

お店を立ち上げたばかりで二人とも忙しい毎日を送っていた。

励ますこともあったが 酷い喧嘩をする日があった。

そんなとき、買い出しに行ったカージョさんが馬車にフラフラと飛び出してしまったのだとか・・。

過労なのか何かはわからないけど、ジョンが駆け付けた時には

カージョさんの現実だけがそこにあったのだという話だった。


「これから話すことは絶対に秘密にしてほしい。

魔石召喚というスキルを使うと復活できるんだ。

だから もしかしたら復活させられるかもしれない」


俺は 魔石召喚というスキルがあれば復活できるという話をした。


「ああ 昔話に出てくる伝説のスキルだろ。でも 物語だろ?いや そんなことはどうでもいい。

それより本当なのか?復活させられるって話・・。」


俺はうなずくと、するとジョンは涙を流し始めた。


目からこぼれる涙を手でぬぐうたびに カージョさんとの思いでがきっとよみがえっているのだろう。

笑ったり 悔しがったり、泣き顔のなかにいろいろな表情が表れては消えていった。

でも。。。。


「復活させるのを待ってほしい!!」


なぜだろう?復活を待ってほしいなんて。


「復活したカージョは苦労していたころの事を・・どう思うんだろうな。

努力に努力を重ねた結果が事故だったんだぜ。。

なにも報われていない人生だったんだ。それを知ったらどう思う?

もしかしたら 俺の事だって許してくれないかもしれないじゃないか。。

・・・。

だから 向いの店がオープンするまで待ってくれないか?

そうすれば俺は借金を返すために開拓村へ行く決心がつくんだ。 

それまでにカージョにできるだけのお金を 残しておくから

俺が開拓村へ旅立ったらカージョを復活させてそのお金を渡してほしい。

俺のことだが死んだと伝えてくれ・・。頼めるか?」


ジョンは 俺の両手をまっすぐ握りそのまま深く頭を落とした。

ジョンの手からはとても暖かい感触と震えが伝わってきたのだった。

本当にこれでいいのだろうか?

ジョンはただただ 頼むだけだった。


そして スープができあがって俺たちはジョンのお店を後にした。


「カージョさんの気持ちはジョンさんを見ていればわかる気もします。

ですがジョンさんは 借金とお店のことも考えていたのかもしれませんね。

それより私はスープを運ぶのを手伝わなくてもいいのですか?・・・・待ってください~」


・・・・・・


「さーあ お待ちかね! ジョンのお手軽スープだよ!!

ジョンさんがみんなのために、おまけしてくれました。パチパチ」

「さあ テーブルに座って、座って。スープを配っていきますからね・・」


スープを配り終わると 軽く感謝を捧げて食事が始まった。

祈りの呪文とかはないみたいだ。

スープの入ったカップの蓋を外すと 顔を見せたスープと香りに、みんながドキドキし始めた。

俺も地球にいたころに 初めてハンバーガーを食べたときのことを思い出した。まさにあんな感じだった。


みんなが一杯のスープを楽しみながら、ラスクを食べている。

そんな中、マリアに声をかけられた。

「さすが エレナ様ですね・・」


エレナも 普通にみんなとスープを飲んでいるようだけど、何がさすがなのだろう??


「あのエルフの子。実は食べられるものが限られている子なんです。

ですが 初めてみんなと食べた外食が、自分の食べられるもので、

みんなも好きなものだったのですよ。 きっとあの子は今は満たされた気持だと思います」


エルフの子は 植物が中心の生活なのでエレナよりも食べられるものが限られているらしい。

でも偶然じゃないだろうか?

だって エレナは まだそんなことを考えられる年じゃないのだから。


「いいえ 神は山や海を引き裂いて世界を造り変えるばかりではありません。

一切れのパンから始まることもあるのです・・・・繋がりなのです。。」


最後のほうは理解できなかったけど みんな繋がっているみたいな話だった。


・・・・


「さあ スープも飲んだし。片づけをしたらみんなで ご寄付をいただきにクーダ教会の前まで出発しましょ~!」


子供たちはスープのカップをきれいに洗って 

そこに自分たちの思い思いの感謝の絵を描いていた。

そしてジョンに返してくれるようにと俺に渡してきた。

テイクアウト用なので捨ててしまっていいのだが、やっぱりこの時代の人たちに

使い捨てという考え方は 早すぎるようだ。

俺は 教会へ行く途中にジョンのところへ寄ってカップを返すことにした。


「あはは、やっぱりダメか。子供たちまでカップを返してくるなんて、ダメなアイデアだったな」


ジョンは 落胆したようだった。

でも 子供たちが描いてくれた絵は 店に飾ってくれると受け取ってくれたのた。


・・・・



「さあ あなたたちは身寄りのない不幸な子たちなのですから 少しでも不幸な顔をなさい・・・」 


教会の前まで来ると 修道女がクーダ教会の入り口近くの特等席を用意してくれている。

マリアはショールを頭に巻いて気づかれないように ついてきた。

きっと かなり辛いに違いない。


募金が始まったが確かに 教会へ訪れる人たちは子供たちの前を通らなければ中に入れなかった。

だけど 通り過ぎる人たちは可哀そうだという顔で子供たちを見ているが、寄付をしてくれる人たちは

ほとんど現れない。

子供たちを見ると 「可哀そうに」といい急き立てられたように教会へと入って行ってしまうのだった。

なぜだろう?まるで 何かから逃れるために教会へ入って行くようだった。


「どうしたのです?もっと不幸そうな顔をしなさい。 

そんな洋服でそんな笑顔をするなんて あなたは、ほかの子達がどうなってもいいのですか?

あなたたちのような子供は 不幸を売ってパンを買うしか道はないのです。

さあ 観光客にもっとまずしい顔を見せてあげるのです」


エレナが 修道女からダメ出しを受け始めた。

子供たちが不幸そうに、貧しそうにしていると 確かに人の目を引くし、見てくれる。

だけど ・・。

でも 不幸な人は不幸に生きていかなければいけないのだろうか?


・・・・

「はい お花あげる」・・・

俺はもう花嫁さんにしか見えないだろう・・


トシユキー ジョンのコーンスープが飲みたいな・

・・・・


そうだ! これだ!これが使える!!


トシユキは 出かけると言い残し買い物に出かけてしまった。

しばらくたつと 花束をどこかから買ってきたようだった。

教会の前から子供たちを連れ出して 反対側の路地へ行くとトシユキは反撃を始めた。


「不幸を売るのはやめにしよう。笑顔を売るんだ!!」


列の真ん中の子に募金箱を持たせて、両脇の子には花を持たせた。

道行く人達に タダで花を一輪ずつくばり始めたのだった。

タダでもらえるということもあり 人が集まってくる、、



「あらら バカなことを始めましたね」

「教会のためにこんなに人を集めてくれるのですから、ほっておきましょう」

「あら あのショールの子、マリアじゃありませんか?」

「ふふふ、 まだ あの貧乏食堂で働いていたのですね」


修道女たちも トシユキたちの行動を黙認していた。

人が集まれば教会に 入ってくる人も増える。

教会に入ってしまえば例の方法でお布施が取れるのだから好都合だった。

しかし・・・・


「チリン チリン チリン チリン」

募金箱は鳴りやまない。

募金をすると人々は 満足げに帰ってしまうのだった。

ある程度募金が順調になってくると 勢いも出てきてみんなも笑顔が戻りマリアがショールを とった。

風になびくショール。そしてマリアの髪が風になびいた。

いつものマリアに戻った。

「ドシャー!!トシユキさん 寄付がこんなに集まったのは初めてです!でもどうしてですか?」

マリアも喜んでいたし 子供たちも元気いっぱいだ。

寄付の理由を聞かれたが、借りを返したいという気持ちを利用して寄付を集めている。

とかそんな説明はするつもりはない。だから


「何を言っているんだ。マリアが子供たちの笑顔を育てたからじゃないか!

お花を渡すときに子供たちと笑顔で見つめあうだろ?それが きっと伝わったんじゃないかな??」


マリアは息をのんだ。目がすこし潤んでいたかもしれない。

説明はウソは付いたかもしれないが でも 半分は本当の事だろう。

マリアの気持ちと行動がなければ 何も起こらなかっただろうから。


この日を境に 同じ方法で寄付が集まるようになった。

購入していた花も子供たちが摘んでくる花へと変わっていったのだった。



・・・・・・


一方 ジョンのほうは 


「雨か・・・。」


ジョンのスープ屋の向かえの店は 明日オープンする予定だ。

向かえの店がオープンすれば 行列ができるだろう。

その行列を自分の目で見れば 諦めがつく。自分は間違えていたと気づくことができるのだっと。

カージョへのお金も自分なりに用意をした。

しかし この最終日だけでも 明るく振舞いたい。

彼女の笑顔はないけれど、カージョと店をオープンした日を再現したいと思っていた。

最後の支度をしていたのに、この日は突然の雨が降ってきたのだ。


「最悪だ・・。カージョ見てるか・・。俺は最後までダメだったよ。頑張ったけど、けどお前とは暮らせないようだ。 でもどうか幸せになってくれ」

ジョンは ペンダントを握ってささやいた。


突然の雨に 街を歩いている人たちは 雨宿りできる場所を探して右往左往と走り回っている。

店を開ければ 人はないって来るが、それはスープを買ってっくれる客ではなく

雨宿りに来た客。泥の付いた靴でお店の床をドロドロにしていく客だった。

入口の扉には まだclause(閉店)の札が下がっているからお客は入ってこない。

ジョンはカウンターに組んだ両腕をのせて外の走り回る人たちを見ていた。。

雨が降る中、頭に手をやって雨を防いでいる人の姿。

地面がぬかるんで水たまりに足を落としてしまう人の姿が見えた。

・・・。

そして ふと店の中に目をやると


「カップか・・」


カップに描かれた絵が見えた。

その絵が何の絵だったのか?

でもジョンは 少し笑顔になった。

言葉じゃない何か。不思議な気持ちが自分の中にもあったことを思い出した。


「外の人たち、きっと寒いだろう・・」


ジョンは 店の扉を開けて扉の札をopen(開店)にした。

「どうぞ! 中で休みませんか?」


ドロドロの足のお客がなだれ込むように入ってきた。

店の中で 水を払うものもいた。

「助かったわ。突然の雨で 開いていたお店だって、急に閉めちゃうんだから!どこにも行き場がなかったのよ」 


お客は感謝をしてくれた。

でも ずぶ濡れなので注文をするとかそんな雰囲気じゃなかった。

窓から 雨が止まないかとみているお客ばかりだった。

そして濡れたせいで少し震えているように見える。


「どうぞ!温まりますよ。お代はいりませんので飲んでください」


ジョンは 店の中の人たちに無料で スープを手渡した。

スープを飲んで温まる人たちを見たジョンは さらに店に入れずに外にいる人たちにもスープを配った。

テイクアウト用にカップは沢山あったし 蓋をすれば雨の中でも暖かいスープが飲めた。

ジョンはみんなに感動を与えた。

そして 「開拓村に行ったって きっと いいことがあるさ」と

ジョンの心も満たされたのだった。


次の日


向かえの店が オープンした。

ケモ耳の可愛い店員さんが 「にゃん にゃん」とお客さんを手招きしている。

しかし 人気店になるはずの店がオープンしたのに客は誰も並んでこない。


ただ、ながーい行列ができていた店があった。

ジョンのお店だ!!

雨の日に店を開けて 泥足の客を入れて親切にしたという、小さな美談はすぐさま広がっていった。

そして スープがなぜシャバシャバしているのか?カップがなぜ持ち運べるものなのか?

それをお客がお客に説明をするようになってからは、ジョンのスープは瞬く間に広がっていった。


「奇跡が起きた・・・・」


開拓村へ行かなくてもよくなったのだ。

ジョンは 店にトシユキを呼び出したのだった。

そして・・・。


「はぁ~ ジョン!!」

「カージョ!!」


二人は抱き合った。

積もる話もあるだろうから 俺たちは退散することにした。

ジョンは 泣き顔でうなずきながら俺たちにお礼を言っていた。

嬉しいときには 言葉が出ないというのは本当のようだった。


「ジョンさんたちよかったですね。 ねえ トシユキさん。魔石召喚の召喚アイテムって何だったんですか?」

「ああ それね。それが ジョンのスープだったんだ。

だから ジョンが開拓村へ行ってしまったら復活できなかったかもしれないな」


「スープですか。この先の二人はきっと仲良くやって行けそうですね」

「ああ。 ポイントカードも教えたから大丈夫だろう」

「何ですか それ? また変なものばっかり あはは」


・・・・・


募金活動のほうは順調で、教会のお布施が減っているという噂が

こちらの耳にまで入ってくるようになっていた。

そんなある日の朝、クーダ教会の前で募金活動の準備をしていると

神父がこちらへやってきた。

「これはこれは、皆さん。皆さんのご活躍は修道女より聞いておりますよ。

ですが今日限りでこの教会の前での募金活動はやめてはいただけませんか?」


最初は丁寧な口調だったが 途中から神父の話は脅しに変わっていった。

お城とパイプのある神父は 路上で募金をしている貧しい子供をどかせることなど

簡単にできるのだ。

つまり 兵士が来る前によその場所へ行けという話になった。


話し終わると神父は後ろを向いて教会へ歩いていく。


「今だ マリア!」

俺は、早朝でまだ 観光客がいなかったのでスキを見てマリアに合図をした。

マリアは 水の入った瓶を振りかぶった。  そして投げた!!


俺も 弱いエナジーランスを出現させる。

水が当たった瞬間 エナジーランスで射貫けば気絶するはずだ。


しかし 


「バシ!!!」

「聖水など 効くものか!!」

神父は 後ろに目があるわけでもないのに 

後頭部に飛んできた小瓶を後ろを向いたまま素手で受け止めてしまった。


まずい! このままでは小瓶の証拠が残ってしまう。

「これは ケロ子の分だぁ!」

俺は エナジーランスを投げつけた。

ランスは神父に命中した。

「何だと・・!」


すると神父は 筋肉質な姿に変わり血色の悪い悪魔の姿になった。

「ククク。気づいたか、だが もう遅いのだよ。」

再び神父の姿に戻ると 神父は教会へと入って行ってしまったのだった。

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