漫才「ラブレター」
漫才20作目です。どうぞよろしくお願いいたします。
この作品は、youtubeにも投稿しております。
一軒家の玄関先、門を挟んで住人の男性と郵便局員が対峙している。
男性「持って帰れ―」
局員「受け取ってください!」
男性「いやだー」
局員「だったら郵便受けに入れるからいいです!」
男性「それもダメー」
局員「私は手紙を届けに来たんですよ。どうして受け取ってもらえないんですか?」
男性「あんたじゃなくて、他の郵便局員に持ってこさせろ」
局員「なんで私じゃいけないんですか?」
男性「この前戻ってきたあかねちゃんからの返事、ご免なさいって書いてあったぞ。あんとき持ってきたのはあんただった」
局員「誰が持ってきても結果はおんなじですって」
男性「なんだよ、僕がまるでモテないみたいな言い方しやがって」
局員「そうは言ってません。交際を断わられたのは私のせいではないと言っているんです」
男性「とにかくあんたは縁起が悪いんだ。帰れ―」
局員「他の局員は他の局員で、それぞれ仕事をしているんです。お願いですから手紙を受け取ってください」
男性「ご免なさいはもう見たくないー」
局員「ちょっと理性的になってみましょうよ。前回はダメだったかもしれませんけど、今回は良い返事かもしれませんよ」
男性「そうかなあ。でも、あんたが持ってきてるんだぞ?」
局員「さあ、気を取り直して。手紙を渡しますから、読んでみましょうよ」
男性が手を後ろに回す。
男性「怖くて読めないよ」
局員「だったらなんでラブレターなんか出すんですか?」
男性「大きなお世話だ。僕の勝手だろ」
局員「こっちはえらい迷惑してるんです」
男性「そうだ、こうしよう。あんたが読め」
局員「なんで私が?」
男性「このままだとあんたは一生疫病神のままだぞ。それでもいいのか?」
局員「いい気はしませんね」
男性「そうだろ、だったら読んでくれ。あんたが言うように良い返事だったら今日からあんたは福の神だ」
局員「解りました。本当はダメなんですけどね、代読ということで、今日は開けさせてもらいます」
局員が封を切り、出した手紙を開く。が、すぐに閉じて封筒に戻した。
男性「あっ」
局員「やっぱり人様の手紙を読むのは局員としてあるまじき行為に当たります。私にはできません」
男性「今読んだよな」
局員「さあ、どうだったかなあ?」
男性「代読するって言って開いただろ」
局員「そうでしたっけ?」
男性「諦めろ。読むんだ」
局員がもう一度手紙を封から出す。
局員「お手紙とってもうれしかったです。どうもありがとう」
男性「おお」
男性が門から身を乗り出す。
局員「この続きは家に戻って自分で読みましょうよ」
局員が男性に手紙を渡そうとする。
男性「ダメだ、全部読め」
局員「そうですかあー」
男性「さあ」
局員が続きを読み始める。
局員「でも、うれしかったのは封筒がかわいかったからだけです。ご免なさいね」
局員が手紙を封に戻して男性に差し出す。男性は手を後ろに回す。
男性「毎度毎度、断りの返事なんか持ってきやがって。あんたには責任を取ってもらわなきゃいかんな」
局員「書いたのは私じゃないんですよ」
男性「当たり前だ、なんで僕の書いたラブレターの返事をあんたが書くんだ」
局員「八つ当たりはやめにして、前向きに考えましょう。今回はご縁がなかったと言うことで、また次頑張ればいいじゃないですか。私も陰ながら応援していますから」
男性「あーあ。他の郵便局員が持ってきていたら、良い返事だったかもしれなかったのになあ。それをあんたがしゃしゃり出てきて台無しにしてしまったんだよなあ」
局員「そんなにいじめないでくださいよ。私は単にこの地区の担当だというだけなんですから」
男性「明日から他の人に担当を変わってもらってくれ」
局員「上からの業務命令で決められたことなんですから、そんなの無理です」
男性「何とかしてもらった方が、あんたの身のためだと思うけどなあ」
局員「脅しですか?」
男性「そういうわけじゃないんだけど」
男性が局員に別の封筒を差し出す。
局員「なんです?」
男性「次のラブレターだ。持って行ってくれ」
局員「あ、はい、仕事ですからね。大切にお預かりします」
男性「解っているとは思うが、こんどこそいい返事を持ってくるんだぞ」
局員「ひえー」
読んでいただき、どうもありがとうございます。