奇跡の始まり6
今回少し少なめで書いておりますご容赦を…
教室に戻りながら、
ふと朝の出来事を思い出す
(あの元気な女の子はどこのクラスなんだろうか…)
神の御導きかはたまた偶然なのか朝の元気な少女が前から歩いてきていた。
彼女は俺に気が付いたのか大きく笑顔で手を振ってきた
(本当に…元気な子だな…)
その元気はどこから来ているのか気になるところだが今は関係ないだろう。
自分も手を振り返そうと右手を上げようとするが留まる。
(まて、これは罠ではないか?本当は俺の後ろに友達がいてその友達に手を振っていたとしたら…
【元気な女の子は大きくこちら側に手をふってきた、それにこたえるかのように手を振り返した。すると彼女の目が俺をとらえ大きく振っていた手が固まり硬直した】
なんて事になるに違いない!気まづすぎるだろう!ここは、無視するか?…)
彼女は未だに大きく手を振りながらこちらに歩いてきている
(手を振るか!?無視するか!?)
二人とも歩いているせいか思っていた以上に近づくのが早く感じる
だが、
まだ彼女は手を振り続けている
(ここまで来たらもう、友達の線は弱まったな…なら…)
先ほど留めておいた手を天高く上げ大きく左右に揺さぶった。この行動が吉と出るか凶と出るか…
(あぁ…神よ…私にお恵みを…)
存在するのかわからない存在…
つまり神に願うのは昔から全知全能と呼ばれあり得ないこともたやすくできてしまう存在がいればそれにすがるのは人間の心理なのだろう…
くだらないことを考えつつ彼女の行動を伺った、
すると彼女は口を開けた
「なつみちゃーん!」
その言葉を聞いただけで俺の脳が活動を停止した…
体が硬直し頭も正常に動かなくなりその場に手を天高く掲げたまま固まっていた…
何も考えられない…
何も感じない…
頭が真っ白になっていく…
彼女が手を振りながら俺の横を通っていく…
時間の進む速度が急に遅くなったかのような感覚に襲われた…
彼女の一歩一歩の音が妙に響いている気がした…
自分の選択したものがものすごいあやまちだったと、
誰が思うのだろうか…
いいあ、
これは自分が生み出した甘えだったのかもしれない。
ずっと友達がいなくて話しかけられたことなどなく、
ましてや手を振られたことなど人生に一度もなかった程だ。
今回手を振ってきた子は朝少し話して顔見知りだからこそ手を振ってきたのだと勘違いし、
その子のやさしさに甘えたのがこのありさまだった。
(人のやさしさを信じるのは…やめよ…こんな気持ちは…もう…二度と味わいたくない…)
自分を悔やみ続け、
人を信用してはいけないと肝に命じておく。
上げたままだった手を下ろし前へ進むことを決める。後ろから小走りの足音がきこえてきたが今はそれどころではなかった…
「ハロ~」
背後から聞いたことのある声が聞こえてきた。
俺は完全に心が折れ今回も俺に声を掛けたのではなく他の人に声をかけていると思い込んでいたが、
突然背中をトントンと指でつつかれたような感覚に後ろを振り向いてしまう…
指でトントンしてきた人を見て一瞬理解できなかった。
そこにいたのは俺も知る人だったとは…
「うそだろ…」
本音が無意識のうちに口からでていた…
動揺は隠しきれないものだと俺は恥ずかしながら理解してしまった。
いかがだったでしょつ