ダンジョンマスターとの戦闘
ボストロルは俺たちを目視すると、戦闘態勢に入り、突進をしてくる。
「こいつから一撃を食らうとやばいぞ!相手との間合いに気をつけろ!」
「みゃ~なのです!」
「了解だし!」
シェリとベベの2人は、ボストロルに向かって左右2手からまわりこむ。
二人には全ステータスUPのバフである‘フォーチュンフィール‘がかかっている
こともあり、身のこなしだけでいえばレベル30程度の冒険者並みには
なっている。
ボストロルとの間合いが急激に縮まり、ボストロルからの先制、
両手に持っている大型のこん棒を振り下ろしたが、
シェリとベベは難なく回避する。
シェリの短剣による連続した攻撃、ベベの槍による突き攻撃によって、
ボストロルの体力ゲージは少しずつだが減少していく。
(確かに効いているが、やはり向こうの防御力はさすがだな)
ボストロルは単調な攻撃パターンだが、攻撃力、防御力は同レベル帯の
中でもひと際高く、一撃でも食らえば致命傷になりかねない。
また、通常のトロルと比べて、攻撃スキルも持っている。
いつ使ってきても良いように、2人を完全に守る魔法は
用意できている。あとはボストロルの体力をごっそり減らすには、
2人のスキルか、あるいはあのバフか・・・。
単調な攻撃パターンばかりしていたボストロルだったが、
体力ゲージが半分になった所で、急に動きが鈍くなった。
このタイミングは・・・ ‘攻撃スキルの発動前‘!
「今がチャンスみゃ~」
「一気にたたみかけるんだし~」
まずいな、相手の間合いに入りすぎている。
その時、ボストロルの体から光があふれ、動きが急激に加速した。
2本しかない腕がいくつも見えるかのごとく、高速で
両手のこん棒をシェリとベベ目掛けてふりおろす・・・!
(‘ぶんまわし‘スキル発動か・・・!ではこちらも使わせてもらう)
シェリとベベは、ボストロルの急激な動きの変化についていけず、
こん棒をいなしきれない。2人にぶんまわしスキルが決まる直前、
「ミラーリングシールド!」
光の盾が2人の間に突如として現れ、こん棒の連続攻撃を
‘代わりに‘受け止める。
スキル攻撃を完全に防がれ、ボストロルは驚いた表情を見せ、怯む。
「ありがとご主人様!」
「いまがチャンスだみゃ!」
すると二人の体が光りだし、動きが加速度的に速くなる。
「クロノスハント!」
「雷鳴突き!」
それぞれのスキルが発動し、2人の連続攻撃が炸裂する。
それと同時に、おれは2人にとっておきのバフをかける。
「アテナの光刃」
光魔法の最上級である、最強攻撃バフをかけ、
一時的だが、飛躍的に2人の攻撃力が上がり、
左右からボストロルの体を滅多切りに切り刻む。
急激に体力ゲージが減少し、みるみるうちに
体力は0になった。
動きを停止し、眩い光とともにボストロルの体は消失した。
それと同じ場所に、アイテムがドロップしたのが見えた。
「レッドネックレスだな」
ユニークアイテムであるそれは、‘20階層ボス討伐アイテム‘として、
ギルドに持っていくと高値で取引される。
「うおおおおおおおおお!!!」
「おいらボストロルを倒したんだし~!!!」
2人のレベルも一気に20まであがり、短剣、槍スキルの上昇とともに、
気になるユニークスキルも新しく習得していた。
(これは・・・ 眷属スキルか!)
次話、姫救出。ギルドに戻ります。