姫救出クエスト受諾
更新が遅くなりました。
かおるんが早くも身バレしています。
大きな声には気が付いていたが、気配を消すようにギルドから出た俺は、
宿屋へそそくさと向かおうとしていたが・・・呼び止められてしまった。
ギルドの受付アーニーだ。
「あなたを見込んで、依頼したいクエストがあります。」
「あいにく私はこれから宿屋に向かう途中で・・・」
「ジェノリア王女を迷宮10階層から助け出してください。お願いします。」
「え~と・・・。私はさっき登録を済ませたばかりの駆け出し冒険者ですよ?
迷宮10階層なんて、とてもじゃないですが・・・」
「あなたなら大丈夫。私、人を見る目はあるんです。」
どこを見て大丈夫って言ってるんだろう・・・。
アーニーはおれをどんどん遮って話を始める。
この人は冷静そうに見えて、だいぶ強引な所があるな~。
「さっき見てもらいましたけど、おれはまだレベル10ですよ?」
「あなた、隠蔽スキル持ちでしょ?」
なぜばれた。
隠蔽スキルのレベルは十分だろうし、アーニーとの会話でも
特別な事は話をしていないはずだ。
それに持ってきた魔石が多かった件については、
高レベルの冒険者から譲ってもらったと伝えてあるし、
装備もなんてことのないアイアンシリーズだ。
「どうして?といった顔ね。
そんな高魔力でコーティングされた鉄の剣は初めてみたわ」
こんな初歩的な所が抜けていたとは・・・。
通常、鉄の剣の攻撃力といったらたかが知れている。
耐久性もないし、すぐ使えなくなってしまう。
ところが、「魔剣スキル」を使うことにより、剣全体を魔力でコーティングし、
攻撃力、耐久性も飛躍的にあげることができる、ユニークスキルの一つだ。
コーティングを外すことは簡単なのだが、忘れてしまうと
一定時間剣の周りの魔力のコーティングが外れることがない。
「ユニークスキルである魔剣スキル持ちで、コーティングの精度から見ても
レベルは相当なものでしょう。レベル10ではとても無理な芸当ね」
言われるがまま、おれは沈黙してしまった。
おれとアーニーのやり取りをしている間、ギルドではアーニーが受付を飛び出し、
ギルドの真ん前で駆け出しの冒険者を姫救出クエストに口説いているという事で、
中は騒然としていた。
「この事は口外しないでくれませんか?おれはゆっくり旅を楽しみたいんです」
「姫を救出してくれたら口外しないと約束しましょう」
「・・・わかりました。でも、10階層ならダンジョンマスターっていっても
レベル20くらいでしょう?そこのギルドにいた連中でもあっさりクリアできそうですけど」
「そこの迷宮の1階層目の魔物のレベルは20です」
エキストラダンジョンか・・・通常の迷宮で稀におこることだが、原因は不明だ。
迷宮内の魔素が急激に増え、それに従って魔物のレベルも急激に上昇し、
通常の迷宮がエキストラダンジョンになってしまう。
「今いるギルドのメンバーでは途中の階層でやられておしまいでしょう。
あなたなら難なく10階層までたどり着き、ダンジョンマスターを倒すことが
できるはずです。」
「・・・仕方ないですね、わかりました。」
そう言った俺は、迷宮までの道を聞き、身体強化のバフをかけて、10分もしないうちに
迷宮までたどり着いていた。
次回は、シェリとベベが出てきます。