かおるんの実力
かおるんの本領発揮です。
「アヤ王女、あの上級魔族のレベルは80のようだ。
私たちが太刀打ちできる相手ではないが、引くこともできなさそうだ。」
「そのようですね。逃がしてくれる相手ではないでしょう。
前は私に任せてください。後ろはお任せ致しました。
ミストラル第一王女として、この剣で一矢報いましょう」
そういった王女は自身の聖剣に魔力を込める。
「ほっほっほ。気丈なお嬢さんだ。苦しむまでもなく殺してあげようかと
思うたが、悪あがきをするというのも、またよかろう」
そういうと、上級魔族は杖に強力な魔力を集中させ、
俺たちに向かって強力な魔法を唱えた。
「ライジングウェーブ!」
大きな雷撃が波のようにウェーブしながら、
幾重にも重なりながら俺たちを襲う。
「ミラージュプロテクション!」
その魔法とほぼ同時にホルスは対魔法障壁を作り、
雷撃を相殺する。
「ほう。」
上級魔族は少し感心した表情を見せ、口元は少し緩む。
相殺したタイミングを見張らって、アヤ王女は上級魔族に
飛び掛かる。
「地に潜む炎の精霊たちよ、我が正義の名において、
古の眠りから目を覚まし、我に闇を断ち切る力を与えよ!
ノスタルジア・イグニッション!」
アヤ王女がもつ聖剣から膨大な魔力が膨れ上がり、大きな
炎の剣の一太刀となって上級魔族に襲い掛かる。
「これはこれは、すばらしい」
上級魔族は仕込み刀に、鋭くも強力な魔力を集中させ、
アヤ王女の一太刀を受けきる。
「くっ!!」
渾身の一撃を受けきられ、焦りの表情を浮かべる。
「よい太刀筋ですが、まあ魔力の違いですかね。
ライトニング・ブラスト!」
上級魔族は近距離で雷魔法中級を打ち、アヤ王女は
もはや逃げようもない状態である。
しかし直撃をする瞬間、アヤ王女の姿が一瞬にして消え
次の瞬間にはホルスの隣に移動していた。アヤ王女は
おれにお姫様だっこをされて、首につかまった状態だ。
「んん??」捕まえたと思ったのですが・・・」
「おいおいかおるん!いつの間にお姫様を助けちまったんだ」
「ご主人様かっこいい!!」
グレンデルや、シェリーとべべに構っている暇がない。
あの直撃を受けたら、本当にこの王女様はタダでは済んでいない。
こうなれば、説明している時間はない。あいつと1対1の展開に
持っていかないと、被害が出るのは目に見えている。
おれはお姫様を下すとすぐさま時魔法を展開し、上級魔族の
すぐ目の前まで移動する。
「シェリーとベベ!そこの王女様とギルマスさんと連携しながら戦え!
すぐ命の危機を感じたらすぐ俺が助けにいく!」
そう言い残したおれは、上級魔族を巻き込んで、
テレポを使って街の外れまで瞬間移動した。
◆◇◆◇◆
「あなたのような人がミストラルにいたとは、
まだまだ捨てたもんじゃありませんね」
ミストラルに来たのは今日が初めてだけどなと、心の中で
突っ込みを入れていた。
おれと上級魔族は、町の外れにある見晴らしの良い丘のような
所に瞬間移動していた。
無限ストレージの中で使えそうなものが見つかり、一瞬で着替える。
「ほう・・・これはこれは驚きました。あなた何者ですか?
なんにせよ、ここで倒しておかねばならない
相手という事でしょう」
おれが用意したのは、
聖剣デュランダル、ムーンライトアーマー、 アポロンの靴である。
最強の武器防具ではないが、全て一級品だ。
相手の手札が見えない以上、切り札は取っておかなければならないが
手を抜いている場合でもない。一応、すべてUUだ。
「あんたに好き勝手暴れられるのは困るんだよ」
「ほう、それはなぜでしょう。さっきの王女様ですかな」
「いや、違うが、どちらにせよ、お前には話すつもりもない」
「くっくっく。戯言もそこまでよ。
ライジングウェーブ!!」
雷撃の波が俺を襲う。それをおれは防衛魔法で
全て受け止め、上級魔族に向かって突っ走っていった。
「剣での戦いであれば、お相手致しましょう。」
そういった上級魔族は、仕込み刀を構える。
しかし、おれは上級魔族が考えるスピードを遥かに超え、
一瞬にして後ろに回り、剣を一閃する。
慌てて上級魔族は反射的に体をよじるようにして反応するが
もう遅い。
鋭い一太刀を浴び、
上級魔族の左腕は音もなく胴体から離れ、
空に飛んでいった。
「ぐああああああ」
「すぐにあの下級魔族も後を追わせてやる。
抵抗しなくていい。悪あがきをする暇なんてない。
お前はここですぐに死ぬ」
自分の魔力を一時的にある程度解放する。
途端に、その一帯にとてつもないプレッシャーが
のしかかる。
自分の反応をはるかに超えた攻撃を食らい、HPの4割を
一気にもっていかれた上級魔族は、
おれとの距離を大きくとった。
こいつをすぐ倒してシェリーとベベの所に行かなければ。
体力が急激に落ちている気配などはないが、何が起こるかわからない。
「ばかな!ばかな!有り得ない!!おまえのようなやつが、
こんな田舎にいる事なぞ聞いとらんぞ!」
運が悪かったね、老紳士さん。
「くそおおお。これならどうだあああ」
上級魔族は、ありったけの魔力を杖に込める。
「トールハンマー!!」
雷魔法、最上級、トールハンマー。 空気が突如としてビリビリと震えだし、
大地もざわざわと騒ぎ立てた。
空から一直線におれに向かってきた稲妻は、凄まじい轟音と共に
襲い掛かってきた。
おれは剣を稲妻に向かって振りぬくと、大きな帯状の稲妻は
大きく真っ二つに切り裂かれた。
「な・・・なんだ・・・と????」
バチバチっと大きな音が一度鳴っただけで、トールハンマーは
すぐさま無力化され、辺りには再び静寂が戻った。
「許さんぞ貴様ああ」
上級魔族が一足飛びに飛び込んできて、仕込み刀で切りかかってきた。
次々と高速で切りかかってくる斬撃を、
おれは軽々といなし、剣を一閃、
相手の右手首を切って、仕込み刀を落とす。
呻き声のようなものを上げ、上級魔族は膝をがくっと落とした。
「・・・お前、異世界人なのか」
「そんな事、お前には関係がない」
おれは上級魔族の胴を真っ二つに切り、
近距離で火魔法、中級のファイアブラストを放ち、
跡形も残らないように体を消し飛ばす。
あいつらが心配だ。すぐに戻ろう。
こうしておれは、ミストラル城門前までテレポを使って戻った。