ミストラル城での攻防
ブルーワールドの2人は身長180くらいはあるだろう、がっちりとした
体格の男だった。有名ギルドのようで、2人には雰囲気に圧を感じる。
2人の後を追いかけながら、後ろからシェリーとベベに光魔法上級
全体ステータスバフのスターリンクをかけておく。
「ありがと、ご主人様」
小声でそう話すシェリーは、キラキラとした目をしていた。
戦闘狂なんだね、本当に。
街の大通りに魔物が湧きからどんどんでてくる。
Lvは10前後とそこまで高くはないが、数が多い。
ブルーワールドの二人、俺たち3人でテキパキと魔物を片付けておく。
「おお、小さいの。若けぇのにやるじゃねえか」
「えっへんであります」
「おいらのランスが華麗に踊る~」
シェリーとベベは本気ではないものの、武器防具のエンチャントと、
身体強化バフのおかげで、彼らとそこまで見劣りしない戦いっぷりを
見せていた。
おれはというと、後ろから攻めてくる少数の魔物たちを
適当にアイアンソードで薙ぎ払って倒している。
誰でもできる簡単なお仕事です。
俺たちは、出てくる魔物を倒しながら、下級魔族の気配がする
ミストラル城まで急いだ。
◆◇◆◇◆
ミストラル城の城門まで辿り着いた俺たちは、下級魔族2匹の姿を
確認する。
それと戦っているのは、王女と聖騎士団、それにどこかのギルドのようだ。
「クリムゾン・インパクト!」
凄まじい炎の衝撃と共に、直撃を受けた魔物は跡形もなく
消し飛んでいた。
聖剣スキル、火の属性の中級技のようだ。
「ジョージ!、あなたたちが太刀打ちできる相手じゃないわ!
街にあふれている魔物を退治しに行きなさい!」
「アヤ様!あなたの身が心配なのです。ここは譲れません」
「私はホルスと一緒にこの魔族を倒します。あなたでは力不足です」
そういわれた聖騎士団の団長らしき人物は、肩をがくっと落としていた。
レベル40と低くはないものの、レベル50の王女からは見劣りする。
それにしても気持ち良いくらいにはっきりと物を言う王女様だなと
感心した。それにしてもあやって言ったか?
日本人の名前のようだが・・・?
「アヤ王女、微力ではございますがお力になりましょう」
アヤ王女に話かけていたのは、魔法使いのローブを着た男性だ。
彼はレベル55と、周辺察知スキルで確認できる人物の中では
一番レベルが高い。おそらく、どこかのギルマスだろう。
「ブラックパールのホルスさんと言ったら、これ以上ない助っ人ですよ」
「いやいや、それほどではございません。それに、強そうな若人が
やってきましたから。」
「あら?あなたたちは・・・」
「わっちはシェリー」
「おいらべべ」
「ちっこいの、アヤ第一王女の前だ、大概にしておけよ。
アヤ王女。ブルーワールドのグレンデルです。お助けします」
「グレンデルか、ミストラルにとんぼがえりとは忙しいな。
それに君たちは新鋭のマティーニギルドか。
噂には聞いていたが、本当にまだまだ若者だな」
ホルスという男性は、品定めをするような目でおれを
観察していた。
すると、下級魔族の2人が俺たちに話しかけてくる。
「助っ人のようだねぇ。」
「何人束になった所で、かないっこないさ」
赤い髪と青い髪をした女の鬼人族の下級魔族。
Lvはともに50。双子のようだ。
当然だが、今まであった敵の中で一番強い。
魔族2人が魔力を高めていく。魔力集中だ。
「属性抵抗を高めておけ!下手に近づくと一瞬で返り討ちにあうぞ!」
ホルスがそう叫ぶと、俺たちも一気に臨戦態勢になる。
高Lvの相手の為、シェリーとベベにバフをかけなおす。
おれは、光魔法最上級のフォーチュンフィールを無詠唱で唱える。
「その光、フォーチュンフィールですか?!」
「まさかお前、とんでもない野郎だってオチ、ないよな?」
「超新星の名は伊達ではないですね」
アヤ王女とグレンデル、それにホルスがおれに話しかけてくるが、
お構いなしにシェリーとベベにバフをかける。
飛躍的に能力が向上した二人は、一気にレベル40並みの
身体強化を得る。
すると、突如として俺たちの後ろの方から、得体の知れない
気配を感じとる。すると、次元の歪みが突如として現れ、
そこから光魔法上級の”アトミックレイ”がシェリーとベベに襲い掛かる。
光のレーザーの形をしたそれは、十数本の矢となって、
直線的なものからカーブを描いてくるものまで様々で、
正面から色々な角度で襲ってきた。
おれは2人の前に立ち、右手のひらだけで全て弾き返した。
「「何!!??」」
下級魔族の2人、それに王女やギルマス達まで驚いている。
これは仕方ないよね。不可抗力だから。
下級魔族2人の
後ろから、強大な禍々しい魔力をもった魔族が現れる。
「わしのアトミックレイを素手で弾き返すやつが、
まさかお主のような若者とはなぁ」
そう言ったのは、老紳士といった雰囲気の年配の男性で、
右手には杖を持っており、
鋭くも禍々しい魔力をまとった上級魔族だった。
「まあよい。お前たちの相手はわしじゃ。
遠慮はいらん。まとめてかかってきなさい」
再び俺たちは臨戦態勢に入る。
この老紳士がレベル80であることを確認するや否や、
おれは無限ストレージの使えそうなユニークアイテムに素早く目星をつける。
王女やギルマスは魔力を高めており、レベル差がわかっていながらも
ぶつかり合う気満々だ。
このままだとまずい。
次回、かおるんの実力が発揮されます。