ミストラル城襲撃
ミストラル城襲撃の章となります
朝、早めに起きた俺は2人がまだ寝ている事を確認して、
これから行うエンチャントの準備をしていた。
この間武器屋で買った槍と短剣に2つ目のエンチャントを
しようと思っている。
ミストラルに行ったら、ギルドダンジョンで2人の戦闘技術やレベル上げを
行うつもりなので、その前準備だ。
2人に合いそうなエンチャントは考えていたので、あとは成功を祈るのみ。
まずはシェリーの短剣にエンチャント。
「エンチャント、攻撃速度Lv2」
すると短剣は強い光を発し、光に包まれ、
先ほどより違った輝きを持って再度眼前に現れた。
エンチャント成功!この瞬間が一番緊張する。続けて、べべの槍にも
エンチャントを行う。
「エンチャント、攻撃Lv5」
同じように光に包まれた槍は、これまた別の輝きを持って
生まれ変わった。
2つともエンチャントには成功したようだ。
隠蔽スキルを使って、普通のシルバーシリーズと見せかけておく。
シェリーとベベが眠たそうに目をこすりながら起きてきた。
「ご主人様ぁ~~」
「ん~?どした~?」
「「お腹すいたあああ」」
わかってますよ、2人とも。
こんな時の為に、
昨日街から出てくる前に宿屋のキッチンを借りて、
簡単ではあるが、食事を用意しておいた。
無限ストレージの中に放り込んでおいたので、出来立てだ。
「サンドイッチだ。まだまだあるから、おかわりもオッケー」
「うまそおおお」
「お肉のサンドイッチー!!」
シェリーとベベは余程お腹がすいていたのか、とんでもないスピードで
サンドイッチを平らげていく。
「ご主人様の手作りさいこー!!」
「おいら、この為に生まれてきたんだった」
何やら怪しいことを言ってる気もするが、ひとまず良かった。
さて、それよりも気になっている事だが、おれの周辺察知スキルに
大量の魔物の気配がひっかかっており、それがミストラル城へと
一直線に向かっているんだが・・・。
一部の魔物についてはすでに城下町に侵攻しているようだ。
高Lvの魔物が2匹いる、Lvは50。おそらく下級魔族だろう。
ミストラルにはLv50前後のギルマスと思われる人物や
城の王族もいるようだから、早々に城が落ちることはないだろうが。
Lvが均衡していた場合は、魔族に分があると思って良いだろう。
侵攻に手間取っていた場合、魔族側の大物が出てくる可能性が高い。
かなりLvが高い気がする、第六感スキルが反応しているから、おそらくは。
食事に夢中になっている2人の意識をこちらに向けさせると、
不思議そうな顔をして見つめてきた。
「シェリー、ベベ、いまミストラルには魔物が侵攻していて、落とされる心配は
おそらくないが、戦闘は均衡することは間違いない。俺たちがこのまま向かうと
それに巻き込まれてしまうが、どうする?」
「「助けにいかなきゃ!!!」」
そうゆうと思った。
おれは、二人の食事を片付け、すぐに移動できる準備を整える。
UUであるスケボーとローラースケートにそれぞれ魔力を付与して、
昨日よりスピードを上げてミストラルに向かう。
(最優先は城が落とされることより、2人の命だ。
最悪、装備を現役時代のものに入れ替えて、守らないといけないかもしれない。
素性がバレた時は、その時はなるようになれだ)
色々なケースを考えながら、俺たち3人はミストラルに向かった。
◇◆◇◆◇
ミストラルの城下町、検問所まで辿り着いたが、検問は一時中断しており、
騒ぎを起こしている行商人たちに兵士が説明をしている所だった。
「入れないってのはどおゆう事なんだ!」
「魔物に襲われてるだって!?」
「ミストラルの聖騎士たちがやっつけてくれるだろう!」
「ブラックパールのギルドも滞在していたはずだ、あいつら
に任せておけば大丈夫だ」
様々な声が聞こえる。
すると、検問所の兵士が改めて俺たちに呼びかけた。
「検問は一時中断しています!もしこの中に冒険者がいたら
声をあげてはくれないか!腕のたつものであれば、
街の魔物退治に力を貸してほしい!腕のたつ冒険者はいないか~!!」
すると、冒険者らしき人物がスッと兵士の前にきた。
「おれはブルーワールドのギルマス、グレンデルだ。おれたちが手を貸そう」
「おお、ブルーワールドのグレンデルか。これは有難い、すまんが
よろしく頼む。」
「あんたらも手を貸してくれないか?おまえ、マティーニのかおるんだろう?」
そう言ったグレンデルは、おれたちを見てニヤッと笑った。
おれが少し驚いた表情を見せると、
「17歳くらいの黒髪黒目の若いと、猫人族と犬人族の3人パーティ
っつったら、お前たちくらいだろう。新鋭のマティーニの話、おれも聞いてる」
「あなたたちがマティーニでしたか。急な申し出で申し訳ないのですが、
街の魔物を退治するために、力を貸してくれないでしょうか」
「もちろんだみゃ!」
「おいらたちに任せるんだし」
「威勢だけは良いようだが、こんな装備でとても力になれるとは思えんが」
そう言ったのは、ブルーワールドの副ギルマス、ショーマンだ。
「そう言うなショーマン。目に見えているもの全てが真実とは限らないだろう
実際、ボストロルを倒したって実力なら、何かを隠していてもおかしくはない」
眼光が鋭く光り、探るような目をされたが、興味のない素振りをして無視しておいた。
「まあ何はともあれ、ミストラルの危機ってんなら、助けないとな!!」
ブルーワールドと俺たち3人は、検問を素通りし、街の中に入っていった。
明日投稿予定です。