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人の口に戸は立てられぬ

人の噂ってあっという間に広がりますよね

朝、陽の光で目を覚ました俺は、久しぶりに

スッと起きることができた。


前の世界では寝起きが悪く、時間になっても

ダラダラとベッドに入っていたことがあったが、

ここでは一発でシャキーンと目が覚める。


あの2人はというと、涎を垂らしながらぐうぐうと

同じベッドで仲良く寝ている。


さてと。


おれは無限ストレージを漁り、エンチャント済みの

シルバーシリーズを探す。


すると、【防御lv7】付のブリガンダインと、

面白そうなエンチャントがついた、シルバーシューズを見つけた。

ブリガンダインは、皮の鎧の裏地に金属を打ち付けて

補強している軽鎧のことで、二人には軽鎧くらいが

動きやすくて良いだろう。N品の防御力は、

ゴールドアーマーより少し劣るが、

ほぼ同等の防御力になっている。


このブリガンダインにエンチャントをしていくか。


おれは、エンチャントスクロールを取り出し、付けたい

オプションを思い浮かべる。


自分の体が光り、魔力が高まっていくのがわかる。


「エンチャント、火水抵抗」


SR(スーパーレア)のブリガンダインが光りだし、新しくエンチャントが付与され、

UR(ウルトラレア)に変化する。

UR(ウルトラレア)特有の、静かだが強い光を放つそれと同じものを

もう一つ作る。


「ブリガンダインにしちゃあ、豪華なオプションだろうな」


エンチャントをしていると、その光が強かったせいか、

シェリーとベベが眠そうに起きだした。


「ご主人様何やってるの~??」

「お腹すいたんだし~」


寝ぼけまなこでシェリーとベベはこちらを見ている。


「2人に似合いそうな防具を作っていたんだよ。今完成したから

こっちにおいで」


かおるんは簡単にエンチャントをしているように見えるが、

SR(スーパーレア)のブリガンダインはとても高値で取引される。

それが、優良なオプションがついた、それもUR(ウルトラレア)のブリガンダインとなると、

桁が一つ変わるくらいの価値になり、そもそも出回る代物ではない。

鍛冶スキルレベル、魔力付与スキルレベル、使用者のレベルによって

エンチャントの成功率は変わり、この3つのスキルを所持している者自体少なく、

また全てを高レベルで揃えている者はまずいない。


UR(ウルトラレア)のブリガンダインは特有の光を放っており、

装備していると町中ではひっじょーに目立つ。

おれは隠蔽スキルでひた隠しにし、Nのブリガンダインを装う。


「おおお~! これかっちょいいみゃ~!!」

「ご主人様!サイズがおいらにぴったりだよ!」


喜んでもらえたようで良かった。


「じゃあこれから、二人に合いそうな武器を探しにいくから、

ついておいで」


「「お腹すいたあああ」」


「朝食がまだだったね。まずは飯にしよう」


飛び跳ねて喜ぶ2人はとてもかわいらしく、

思わず笑みがこぼれる。


装備を整えた俺たちは、食堂に降りてきた。

すると、俺たちにさっそく宿屋の女将が声をかけた。


「あんたたちミストラルの王女様を助けたんだって~?

いや~てっきり駆け出しの冒険者だと思ってたからさ~」


合ってますよ女将。俺たち駆け出しですよ~。


「ふひひひひ」

「ご主人様は最強なのです」


「あらそうなのかい。私にはただの新米の冒険者って感じの

男の子にしか見えないんだけどね~。」


そういいながら、女将は俺たちをテーブルに通し、

シェリーとベベが頼みたいものを女将に注文する。

女将もびっくりの8人前くらいの量になっていた。

おいおい朝からめっちゃ食うな2人とも!



「おめえさんたち。もしかして、昨日王女様を救って

くれた冒険者かい?」

「あ~、まあ、一応そうですけど・・・。」


「紹介が遅れちまったが、おれはグランド。おれもギルマスを

やってるもんだ。おめえさんが新しく出来たマティーニってギルドの

ギルマスかい?」


「そうですね」


そう言って話かけてきたのは、ベテランらしい風格の歳がそこそこいった

中年の冒険者だった。レベルは24で、槍がメインらしい。


「まさかいきなり2部のBランクに昇格とは。超新星ってのは

この事だね」


「いやいや、偶然が重なりまして、運が良かったんですよ」


「運が良いだけでボストロルを3人で倒せないだろう。

もうこの辺のギルドじゃあ、あんたたちの事で今朝は

専らの噂になってるんだ。いったい何者なんだ、ってね。」


俺たちの話をよそに、シェリーとベベは黙々と飯を平らげており、

みるみるうちに8人前あった料理が消えていく。

俺の分も残しておいてくれ・・・。


「これからミストラルに行くんだって?最近、妙な噂が出回っているから、

行くには良いが、注意しておいたほうがいい」


「噂?なんですかそれ」


「なんでも、ミストラルを狙って魔物が襲撃に来るっていう噂だから、

行くなら気をつけろよ」


「へえ~、なるほど。わかりました」


「これを聞いて平然としてるんだから・・・。おめえさんたち

将来大物になるぞ~」


中年の冒険者はがはははと大きな笑い声をあげて、うんうんと

俺の背中をバンバンと叩いた。 痛い、痛いって。


「あとはご主人様だけ~」

「??」


シェリーに話かけられたおれは、ふとテーブルを見ると、

綺麗に一人前だけ残った食事と、大量に積み上げられた

皿の山を確認した。


「ご忠告ありがとうございました。それでは失礼します。」


おれもさっさと食事を済ませ、グランドに別れを言った。

また今日で宿を出ることを女将に伝え、宿を後にした。


朝の町はすでに活気づいており、人の数も多く、

市場に行くまでの道で冒険者や商人たちを

たくさん見かけた。


おれたちは目当ての武器屋に行く前に

少し寄り道をと、町の市場に顔を出した。


そこでは、良い匂いのする屋台があったり、

露店で武器や防具、アクセサリー、ポーションに

鉱石など、何でも売っている。


1000年後の世界では、物の価値はどうなっているのか

知りたかったのだが、その中で気になったのは、

ポーションの値段だ。


「ミドルポーションで銀貨20枚?ハイポーションは金貨2枚だと!?

有り得ない・・・」


おれはポーションの値段に愕然とした。

なんでも、ポーションを調合できる者がそもそも少ないようで、

ポーションを作成するための材料も、取りに行ける冒険者が

少ない為、こんな価格が上昇しているらしい。


(これは自分で作ったほうがよっぽど良いな・・・。

それにしても調合スキルがない冒険者だったら、

こんな価格でろくにポーションなんて買えないだろう。

どうやってダンジョンに籠ってレベリングするんだよ。)


俺たちは市場で一通りのアイテムを物色してから、

目的の武器屋まで辿り着いた。


今日の8時くらいに投稿できると思います。

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