ギルドマスター
「ブランドンです。ジェリノア王女を助けてくれてありがとう」
そういった中年くらいのドワーフは、町中では見かけないどっしりとした雰囲気の
、この冒険者ギルドのギルドマスターだった。
(レベル57・・・この町の中で一番高い。戦闘スキルもやばいな)
「おじさん誰にゃん?」
怖いもんなしやな、シェリーちゃん。
「こんにちは、シェリーちゃん、君、普通の猫人族じゃないでしょ?」
眷属スキルの事がバレたか?高レベルの隠蔽スキルで隠して
るんだけど…大丈夫か?
「その年齢でレベル20とは…かおるんくんがよっぽど良い
指導者なんだね」
当ては外れて、
レベルが急激に伸びた事についてだった。
「今回はエキストラダンジョンだけあって、高レベルの魔物が
いっぱいいましたからね~。ずーっと3人で狩ってたおかげで
2人のレベルもあがったんですよ」
本当は8層から10層までの間だけだったが…。
おれのレベルを隠蔽している事はアーニーさんにばれてるし、仮に
おれのレベルが40だったと勘違いしていて、おれが2人を
助けながらレベリングをしていたと言えば、苦しいが通じなくもないだろう。
「おじさん、俺たちに何か用なの~?」
ベベは不思議そうな顔をしながら、じっとブランドンを見ている。
「おっとそうだった。姫救出クエストのお礼と、今回登録したての君たちの
ギルドを2部、Bランクに昇格させる事にした」
「それは…ありがとうございます」
おれは若干歯切れの悪い返事をしつつ、ブランドンの言葉を待った。
「それでだ。Bランクに昇格したギルドは、この大陸のギルド掲示板に掲載がされる
という事になる。また、今回のクエストについても、ボストロルの件についても
載ることになるから、一応伝えておこうと思ってね」
なるほど、そうゆうことになっているのか。
おれがこのアクティビティゲートをやっていて、転移した1000年後の今、
新しいギルドのシステムも出来ていて、その一つがギルドの情報については
その掲示板に色々と掲載されるという事か。
「これからミストラルに行くそうじゃないか。通行証もあるそうだし。城へは
問題なく通してもらえるだろう」
「ただ、わかってると思うが、新鋭ギルドがこういった目立った昇格があった場合、
良く思わないギルドも多くあるということも、言っておかなければならないからね」
悪目立ちっていうのは、ほっんとに良い事一つもないからな~。
おれはともかく、シェリーとベベが危険に巻き込まれるようなことに
なるのが一番心配だ。
「ミストラルのギルドでは、もう君たちの事は伝えてあるからね。
あっちのギルドマスターもちゃんとしてるから、何かあったらまず相談すると良いよ」
「ありがとうございます。助かります。」
「それと最後に聞きたいんだが、君自身の事について知りたいんだ。
君の存在にはとても興味がある」
「僕、そうゆう趣味ないんで、大丈夫です」
「あははは。変な誤解されちゃったかな?」
レベルが10っていうのは明らかにおかしいので、
今はレベル35にしてある。スキルもそこまで不自然じゃないものをチョイスし、
そしてバフの魔法がある光魔法をほどほどにレベルを上げて、
ステータスで見えるようにしておいた。
このブランドンっておっちゃんも、おれが隠蔽スキルを使ってることはもう
バレてるんだろうな~。シェリーとベベは眷属の事以外はそのままにしてあるんだが、
おれのステータスは嘘だらけだからな。
「もうこの町からミストラル城まで出発するのかい?」
「いえ、この町にはもう少し居ようかと思っています。」
「そうかい、ならゆっくりしていくと良いよ」
そう言われ、ようやく解放された俺たちは、下のギルドで受付をしていた
アーニーの所に再び戻ってきた。
「かおるんさん、レッドネックレスの買取分の金貨と、そこの2人のステータスは
確認していかれますか?」
「はい、お願いします。」
シェリーとベベは、長机の端にあった小型の魔法陣に手をかざし、
ステータスを確認していた。
おれは、レッドネックレスの買取金額に驚きつつ、少々アーニーと話を
したあと、2人の元に戻った。
「すっごい強くなってるみゃ~!」
「おいらたちって、ほんと強くなったんだし!!」
興奮する2人を微笑ましくみながら、おれはその見たこともない
「眷属スキル(犬)」「眷属スキル(猫)」について、
これからどう使っていけば良いのかを考えていた。
次回、マティーニギルドでの活動を書く予定です。