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鬼が住まう男  作者: ラン丸
学園編
9/10

第八話

遅れてしまい申し訳ございませんでした。たまにこの様な事もあると思いますがこれからも見てくださると幸いです。

ウィィィン


自動ドアの音が静かな部屋に響いた。ここはこの学園の保健室、沢山のベッドがあり多くの人が怪我をしたとしても支障がないように設計されている。保健室にやって来た者は迷うことなく真っすぐ行ったところにある窓際のベッドに向かった。


そして窓際のベッドに寝ている男に話しかけた。


「......残念だったな。岡島」


そう発せられた声は感情がこもっていないようにも聞こえる声だったが、どことなく残念そうな表情を浮かべていた。


「ああ残念だよ......まさか君が見舞いに来てくれるとはね。鬼貫君」


保健室で寝ている岡島の所にやって来たのは鬼貫蒼馬だった。岡島が保健室に運ばれた事を知りやって来たようだ。


「見る限りじゃあ如何やら重症って程でもないようだな、なぜ保健室に居るんだ?」


「それは......」


岡島が保健室で寝ている訳を説明した。岡島の説明によれば岡島の戦いを見ていた女性たちに強く言われたそうだ、岡島を心配しての事だろう。岡島は渋々保健室に送られたらしい。


「君も気を付けた方がいいよ。あの東野智司と言う男ただ者じゃない、俺の攻撃が全く効かなかった…これで君を倒すのはお預けになってしまったね」


岡島は悲しい顔をしつつ蒼馬に忠告した。岡島の言う通り東野智司と言う男はただ者じゃない、対戦した本人が言うのだから説得力のある言葉だ。





「......戦いの続きをしようか」


攻撃を受け岡島が地を這っていたあの時、再び東野智司が右手をかざして指輪が光った。そして光が岡島を包みこんだ後、岡島は傷だらけで立ち上がることが出来ず、審判に戦闘続行不可能と告げられ岡島は2回戦で敗北を喫した。




「なあ君はどう思う?彼は妖術でも使ったのか?俺はあんなの見たことなかった。手をかざすだけで俺を吹き飛ばし、光の玉のような物まで繰り出した。未だに自分でも何が起こったか理解できない」


「......さあな、それがあいつの魔具の力なのだろう。実際に対戦してみないと分からない。だがまあ先ずは2回戦の相手からだ」


「そうだね。彼も力は未知数だし気を付けたほうがいいな。まあ君が負けるなんて想像も出来ないけどね」


蒼馬はその後保健室を後にした。それにより保健室には寝ている者しか居らずこの場で起きている者は岡島だけとなった。


「......クソッ......何も出来なかった......何が勝つだ......俺は弱い」


ベッドのシーツに涙が零れた。その小さな嘆きは誰にも聞こえる事はなかった。




白熱の2回戦もいよいよ終盤に差し掛かってきた。そして蒼馬の2回戦が始まろうとしている。蒼馬は2回戦の会場である校庭にやって来た、そこは1回戦と同じだが明らかに違うのは観戦者の数だ。1回戦よりも多く賑わっていた。


「これより、鬼貫蒼馬と河野孝之(こうのたかゆき)の第2回戦を始める」


その言葉で賑わっていた雰囲気は消え、息を呑むような雰囲気に変わった。蒼馬の前には黒い槍を持った河野孝之が立っている。



「始め!!」


その言葉を合図に二人は相手に向かって走り出し一気に距離を詰めた。孝之の槍が突き出された、その突きは反撃の隙を見せず次々に蒼馬を襲う。


「......くっ」


蒼馬は避けながら反撃の糸口を探っていたが、見つからず突き出された槍を蹴り上げ一旦距離を取った。


「やるねぇ。でも距離を取っても無駄だぜ?」


孝之は自分の武器である槍を蒼馬目掛け投擲した。蒼馬は驚きつつも左右によけ回避しがら空きとなった孝之を畳みかけるべく距離を詰めようとした。


「......!!」


避けたはずの槍が蒼馬目掛け飛んできたのだ。だがこれも間一髪であるが避けたのだがこれで攻撃は終わることはなかった。蒼馬は孝之を見ると手を動かしていた、すると槍はその方向に向かって動いていた。彼は槍を自在に操ることが出来るようだ。


「厄介だな......だが」


暫く蒼馬は次々に襲い掛かる槍に対して避ける事しか出来ないでいたが、蒼馬は槍を避けた瞬間槍を掴み孝之に向かって投擲した。


「なに!?」


孝之は自分に向かってやって来た槍をすんでの所で止めた、だが焦りを見せたのが悪かった。蒼馬は凄まじい速さで孝之の懐に飛び込んだ。


「しま......」


蒼馬の拳が彼の胴体に当たり彼は槍を落とし地面に体を打ち付けながら吹き飛んでいった。

砂埃が孝之の一帯で巻き上がっている。


砂埃が止み彼の姿が見えると体はボロボロになっていたが、蒼馬の攻撃を受けてから離れたはずの槍が彼に向かって飛んでいき彼の手に収まった。すると彼はゆっくりであるが立ち上がった。


「......はぁ、はぁ......ま、まだだ。俺はまだ......ハアァッ!!」


孝之の槍が禍々しい黒いオーラを放つと蒼馬に向かって黒いエネルギーを放った。蒼馬はそれを避けることなく手をクロスさせ防御態勢に入り黒いエネルギーを受けた。


分散されたエネルギーは地面をえぐり戦いの場所である校庭は、試合前と形を変えていく。



「ハァァァァァァァッッ!!!」


ついに蒼馬は黒いエネルギーを振り払い消し飛ばした。


「......駄目か......俺の、負け......だ」


それを見た孝之は残念そうな顔をしながら小さな声で呟き地面に倒れた。審判が孝之に近づいて言い放った。



「河野孝之の戦闘不能により、よって勝者!鬼貫蒼馬!!」


歓声と拍手が鳴り響いた。孝之は直ぐに先生たちに運ばれていった、蒼馬もその場を後にした。そして予定していた次の試合は別の場所で開始され激しい2回戦は終わりを迎えた。





蒼馬が試合会場を後にして人通りの少ない場所を通った時一人の人物から声を掛けられた。


「......待ってくれ」


蒼馬が振り返るとそこに居たのは小桜巴(こざくらともえ)だった。


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