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鬼が住まう男  作者: ラン丸
学園編
6/10

第五話

校長の偉功が生徒に知らされてから一時間が経った。そしてこの時点をもってエントリーの受付は終了となり、過去最大ののエントリー者数となった。では早速今回のトーナメントのルールを確認していこう。


1、人殺しの禁止

2、魔具の使用可

3、相手が気絶又は降参まで続ける


今までは人殺しの禁止と相手が気絶又は降参まで続けることの2つだったのだが、今回魔具の使用が許可された事により3つとなった。だがここで魔具の使用が許可されたことで、人が死ぬ可能性があることに生徒は不安を抱いていた。



受付も終わりエントリーを終えた者、そうでない者も全員が自分のクラスへと戻った。クラスにはモニターも設置されそれでトーナメントの様子を見る事も出来る。今いるⅭクラス全員が集まったことを確認したⅭクラスの担任である望月先生には今回のトーナメント戦の説明する義務がある。


「ええ、今回大幅な変更となったが、初めて参加するお前達にはさほど影響はないだろう。さて、ではまずルールの説明からだ。人殺しの禁止、魔具の使用可、相手が気絶又は降参まで続けることがルールだ。これは知っている事だろう、だがここでお前達が一番気になっているであろう、魔具の使用により死者が出る可能性への懸念だが......」


ここで、一旦話を切った望月先生は驚愕の言葉を言い放った。



「......この件については仕方のない事と学園側は判断している」



その言葉にクラスの何人かは声を上げて批判の言葉を口にした。


「ふざけんなよ!これで死んだら何のためにこの学園に来たのか分かんねえじゃねえか!!」


「そうよ!私達は魔獣を倒すためにこの学園に来たのよ!?人間通しで殺しあっても意味がないわ!」


そんな言葉が次々と教室内に溢れた。その言葉を止めるかのように少し声を荒げて望月先生は言った。


「甘えるな!いいか!あくまでもこのトーナメントは自由参加だ。お前達が選択し決めた事だ、それに責任を持たずして何に責任を持つつもりだ!魔具の使用が許可された事とで身体の影響が出る事は考えれば分かる事だろう、それでもなおトーナメントに出場するのなら…それはもう自分の責任だ」


望月先生の言葉に批判の声は止んだ。確かに、望月先生の言っていた事はその通りなのだろう。しかし、生徒の死亡により打撃を受けるのは学園側だ。それは生徒が死ぬ事により魔獣に対抗するための戦力が減るという事になるからだ。そんな事を思った生徒は何人かいたのだろう、岡島が質問をした。


「望月先生、俺は戦いの結果死んでも、人を殺す事になっても構わないと思っています。ですが学園側が一番困るのではないのでしょうか?なぜこの様な戦力が減るかもしれない変更をしたのですか?」


岡島の意外な言葉に驚く者も多く、コソコソと話す声がチラホラ上がっていった。しかし、望月先生は何も驚く事もなく岡島の質問に淡々と話し始めた。


「…確かに、戦力が減るのは日本を守るのには痛手だ。私も最初はそう思った。だが校長は我々教師にも変更理由については知らせていない。しかし何か考えがあるのだろう、私達はそれに従うだけだ」


静寂が教室内を包んだ、これまでの望月先生の言葉は正しいと皆理解しているのだ。エントリーした者、していない者どちらかをそれぞれ自分で選んだことだ。ならそれに責任を持つのは至極当然の事。だがみな自分から声を出さない、やはりここで声を出す者は一人しかいないだろう。


「先生の言っていることは正しい。皆分かっているはずだよ。それにここに来たのは魔獣を倒すためだ、魔獣と戦うという事は死を考える必要がある。死ぬかもしれないなんて考えたらいざって時に思い通りの動きが出来なくなる。なら、ここで命を懸けた戦いをしようじゃないか」


その言葉に、少しずつ皆声を上げていった。やはり誰かが言うと皆揃って声をあげるようだ。積極性がある若者が少なくなったのは悲しい事だ。だが今はそんな事を考える必要はない、どんな理由にせよ気持ちを入れたのだ、そこが一番大事だ。なにより一番は皆の士気を高めた岡島だ、さすがクラスの中心と言ったところだろう。


「どうやら、分かったようだな。ならこの話は終わりだ、もう直ぐ各々のトーナメントの対戦相手が決まる。自分の番になったら学園から支給されたリストバンドが光り、試合会場の場所を知らせてくれるそれに従い試合を行え。今日はベスト16が決まるまでトーナメントを行う。エントリーした者は健闘を祈る」


そう言い残し、望月先生は教室を後にした。エントリーした者は準備を始め、そうでない者はどの試合を見に行くか、話し合っている。



(やっと、終わったか。やはりこのクラスの人間は数人を除いて期待外れだ。戦いに慈悲も容赦も必要ない、勝つか負けるか、死ぬか生きるか......ただそれだけだ)


そう、戦いは勝つか負けるか、死ぬか生きるかである。相手が何だろうと関係ない、勝つことが全てだ。それが最強の流派を継承した蒼馬にとっての流儀であり、使命であり、重圧なのだ。




その後、対戦表が知らされエントリー者数も表示された。

1年42名

2年36名

3年64名

計  142名

この結果を見るに3年の出場者が多い。この中に天道伊月の名もある3年の優勝候補だ。他にも強者と思われる人が多く出場している、想像を超えるトーナメント戦となるだろう。




そして蒼馬の一回戦の相手は、天道一刀流の者に決まった。


「天道一刀流か。さてどんな使い手か、今から楽しみだな」


こうして、次々に一回戦の会場に向かう生徒達。それぞれ激しい戦いが繰り広げられていた。そしてついに蒼馬の番がやって来た。


「......対するは鬼人無相流の継承者。鬼貫蒼馬!」


蒼馬は名前を呼ばれると、目の前の天道一刀流の者の前に立ち握手を交わした。審判の初めの挨拶と共に蒼馬の一回戦が始まる。



「......始め!」


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