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鬼が住まう男  作者: ラン丸
学園編
3/10

第二話

「......朝か」


蒼馬はベットから降りて身支度を始める。少しして着替え終わり一階へと降りていった。


「おはようございます、蒼馬様。食事の準備は出来ております」


「いつも感謝する犬井、昨日は退屈だった」


この犬井という男は、蒼馬が生まれる前から執事をしている者で今は犬井と2人暮らしなのである。


「蒼馬様、昨日様々な人に会ったと思われますが誰か強者と言える者は居られましたか?」


蒼馬は少し考えた後、困ったように言った。


「いや、会ったわけでもないからな、正確には分からない。だが何人かは中々良い雰囲気を持った人は居たかな、でもそれでも俺の方が強い」


「そうでしたか、蒼馬様が本気を出したら敵う者などいないでしょう。退屈な学園生活にならないことを私は願っております」


「ああ、そうだな」


蒼馬は食事を済ませ家を出て学園へと向かった。

学園に着くとクラスが掲示板に張られておりA、B、C、Dクラスに分かれている。蒼馬はCクラスになった。蒼馬はCクラスに向かい自分の名前が示されている場所に座った。周りにはもうすでに殆どの人間が自分の席に座っていた。暫く待つことになったが教師と思われる人間がやって来た。


「Cクラスの教師に配属された、望月宗吾もちづきそうごだ、よろしく頼む。では早速だが各々自己紹介をしてもらう、まずは......岡島、お前からだ」


教師に指名された岡島という男がその場に立って自己紹介を行った。


岡島俊吾おかじましゅんごです。どこの流派にも属していません、俺は銃を使った戦闘が得意です。日本の為にも必ず魔獣を退治したいので皆一緒に頑張ろう!」


自己紹介を行った後、女性からは格好いいとかイケメンだとか言われていた。男子はというと何人かは羨ましそうな顔で岡島俊吾を見つめていた。


岡島俊吾の容姿は誰が見てもイケメンと呼ぶことだろう、女性の眼差しを集めているのがその証拠だ。そしてその後も自己紹介をしていった、最後は一番後ろの角の席に座っている蒼馬だ。


「鬼貫蒼馬だ、よろしく」


蒼馬はそれだけ言って座った、その態度に何人かは気に食わない様子だ。しかし蒼馬は気にすることなく目を閉じた。


「さて、自己紹介も全員終わったことだ早速講義を始める。まずは魔獣と我々について知ってもらう。知っている奴も居ると思うがしっかり聞け」


望月先生が魔獣の事について話を始めた。


「まず、魔獣は何処から現れて何の目的で襲ってくるのかは分かっていない。突如現れた魔獣は人間や町を殺し、壊し始めた。魔獣が現れた当初は軍隊などが駆逐に当たっていたが今では軍隊は壊滅し殆ど機能していない。そこで白羽の矢が立ったのは魔具を取り入れ更なる力を手に入れた俺を含め君達武術を嗜む者達だ。最初の頃は統一することもなくそれぞれで戦っていたが、それも近年では通用しなくなった。そこでこの学園が作られ魔獣対策本部も設立されたわけだ」


望月先生が話し終えると一人の女性が手を挙げた。


「なんだ質問か?新田めぐみ」


「はい、望月先生」


新田めぐみ、身長は155㎝くらいで膨らんだ胸が特徴的な女性だ。その容姿に何人かの男は既に魅了されている。彼女は魔具を使用した治療を専門としている、直接戦闘に加わるわけではないが入学を許可された。このように直接戦闘に関わらない人間も人数は少ないが入学している、これを見るとやはり魔獣を倒すためだけの学園と言えるだろう。


「どうして軍隊が敗れたのでしょうか、いくら魔獣とはいえ動物だと思います。それなら負けるはずないと思っていたのですが」


「それはだな、魔獣の放つ声が原因だ。魔獣の放つ声の影響で機械が故障し役に立たなくなった。それにより魔獣の攻撃を耐えられず壊滅していったわけだ。魔具が浸透していったときにはもう既に遅かったのさ。だが今では魔具を取り入れた物が活躍しているだから今日まで魔獣の被害から守れているわけだ、分かったか?」


「はい、ありがとうございます望月先生」


「他に質問があるものは居るか?」


望月先生の問いに一人の男が質問した、その内容はどこから魔具というのが出てきたのかという質問だ。その質問に望月先生は少し困ったように言った。


「残念だがそれについては私も知らない。この件は限られた人間しか知らないらしい、校長もこれについては知る必要はないとの意向だ。お前達も気にするな時間の無駄になるだけだからな」


分かりましたと質問した男は言って頷いた。望月先生の態度を見る限り極秘事項と言った所なのだろう。その後は特に質問もなく望月先生が注意事項や学校内の施設などを述べて講義は終わった。


基本的にこの学校は自由な時間が多い、講義は一日に午前と午後で2つしかない。講義では魔獣の事などを学ぶそして一週間に3度非戦闘の生徒以外を対象に生徒同士の戦闘があり、ここで色んな人間と戦い己の力と技術を高めていく。だがこの生徒同士の戦いはあくまで任意である。自由な時間では各自訓練などを行ったりしながら過ごしている。



蒼馬は講義が終わると食事をしに望月先生が言っていた食堂にと向かおうとした。だが1人の男に話しかけられそれは叶わなかった。


「なあ、蒼馬って言ったな?ちょっと一緒に訓練でもしようぜ。まさか逃げたりしないよなぁ?」


(誰だこいつ......ふーん、戦う価値がないな。弱い奴と戦っても俺の目的は果たされない)


「誰だが知らないが、俺は弱い奴など興味はない。そこを退いてくれないか?」


「んだと!テメエ調子乗んじゃねーぞ!どっちが弱いか教えてやるよ」


男は退くことなく蒼馬に戦いを強要した、蒼馬はこのまま何を言っても無理という事を判断し男と戦うことにした。男は蒼馬を連れて教室を出ていった。教室にはもう既に殆ど人が居なかったので騒ぎにはならなかった。


「......鬼貫蒼馬か。」


教室内で誰かがそう呟いた、その言葉は誰の耳にも聞こえないくらい小さな声だった。


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