プロローグ
この度プロローグを追加いたしました。
「蒼馬、お前は私達の流派をしょって立つ次の継承者になるんだ。私が出来なかった事をお前に託す。必ず鬼人無相流が最強であると示すんだ」
「うん!分かったよ!お父さん、俺が最強になる!強い奴は皆倒すよ!」
「......ああ、父さんは強くないから誰も倒せなかったんだ。だけど蒼馬には父さんにはない力を持っているから、必ず強くなるはずだ」
「そうだね、お父さんは優しいもんね!」
「......そうだね、父さんは優しいというより覚悟がないだけなんだ。蒼馬に教えられたよ」
「そうなの?俺お父さんに教えてたのか~嬉しいな!」
「だから父さんはもう蒼馬に教える事はないんだ。でもそれだと父さんが嫌だからさ、いつか時が来たら蒼馬の役に立つからな」
「うん!分かったよお父さん」
そんな何気ない父との約束から月日は流れ、蒼馬は歳を重ね鬼人無相流の継承者となった。蒼馬は日々己の体と技に磨いていった。蒼馬の技はすでに父と約束をした幼い頃に超し、その技は最強の者【鬼】と呼ばれていた先代達に近づきつつあった。
しかし、蒼馬には越えなければならない境界線を越えてはいない。鬼人無相流の継承者なら越えていなくてはならない、そうでなくてはその技は真の力を発揮しないからだ。
ある日の事だ、来る日も来る日も己の鍛錬を怠らず最強を目指し修行している蒼馬の下に父親がやって来た。
「蒼馬、少しいいか?話があるんだ」
蒼馬は、鍛錬を一時中断し父親と会話する姿勢を見せた。
「親父、話ってなんだ?まだ食事の時間じゃないだろう?」
時刻は15時を過ぎた所、まだ夕食には早い。
「大事な話だ蒼馬。覚えているか?子供の頃私がお前に言った、いつか時が来たらお前の役に立つと」
「......そんな事もあったな。それで親父は俺の役に立つって一体どうするんだ?秘伝の技を教えてくれるとか?......そんなの無いか、俺は鬼人無相流の技は全て習得したんだからな」
「確かに蒼馬は私が教えた鬼人無相流の技を全て習得し、そして私よりもその威力は絶大だ。だがそれでもまだ足りない、先代達から受け継がれた技には及ばない」
「......なら一体どうすればいいんだ?」
「それは......。」
蒼馬は父親の言葉に驚かずにはいられなかった。その言葉を聞いた蒼馬は戸惑いながらも覚悟を決めた、全ては鬼人無相流が最強であると示すため。越えなければならない一線なのだ。
「私と戦い、お前の父であり鬼人無相流前継承者、鬼貫明人を殺して見せろ!」
その時から蒼馬は自分が人を殺す事に躊躇がないという事を自覚した。そう彼は最強と言われた先代達と同じものを持っていたのだ…いや住まわせていたのだ。
彼の中には【鬼】が住まっている




