3−4 蒼月side
3−4蒼月side
困った顔のままのリオウさんを見て、「なにか変なこといったかしら?」とキョトンとしていると、「リオウ。」と声がかかった。
美声が響いてカーテンが開く。そこには赤く腰より長いストレートの髪に赤い目、胸に赤い石のペンダントをつけた美青年がいた。さらに彼の額には金・銀・銅の細く美しいチェーンがゆるやかな弧を描き、その3色のチェーンには赤く小さなティアドロップ型の石とチェーンの両サイドに桔梗の花のモチーフが付いている額飾りをつけていた。
「この人も美青年だ〜。ん、誰かに似てるかも?」とマジマジと赤い青年をみていると、青年は黙って腕を差し出し、金細工の桔梗の花と赤い石のついたブレスレットを見せてきた。
(あれ?このデザインは…)
ふと、自分の腕をみると、桔梗とアゲハ蝶という金細工のちがいを除けば、私は美青年の差し出した腕につけているブレスレットのデザインとよく似たものをつけていた。
私のブレスレットは父から大学卒業祝いに譲ってもらったものだ。そのブレスレットと彼のブレスレットを何度も交互に見比べ、「なんで父さんのものとよく似てるの?」と言葉をこぼすと、彼から「紋以外はほとんど同じものだからな。」と答えが来た。
「おなじもの?」
「あぁ。多少デザインは違うが、大きく違うのは王族個人特有の紋章だけだからな。」
(…王族個人の紋章?)
「なんだってそんなものが…。王族でもなんでもない、しがない高校生物教師の父と医者の母の娘なんですけど??」と眉間にしわを寄せ、豆知識娘・マイちゃん風にいうと、思いっきり「なんでやねん!!」って顔をしていると、「まさか、自分が王族とは知らなかったのか?」という赤い彼からの静かな問いかけが…
(はい?「まさか、自分が王族とは知らなかったのか?」??ん、えっ“私=王族”!?)
「はいぃぃぃぃぃぃ!!?」「えぇぇぇぇぇぇ!!?」
私とティルは、本日、一番の絶叫をかましてしまった…………
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次はマルスsideに移ります。