3−3 蒼月side
3−3蒼月side
「僕が海に浮かんでたソウをいちばん先に見つけたんだ!」
(え………………?はぁ??「海に浮かんでた」? なんで?私、海なんかに居なかったわよ??いやでも待て、………えぇ!!じゃあ私、ティルが見つけてくれなかったら…………!!)
走馬灯のようにグルグルと考えが頭の中で走り回った。
(ちょっと、まて。今、真っ先に何か言わなければならないことが…)
はたっ!と気がついて、「ありがとう、ティル。ティルが見つけてくれていなかったら、私はおぼれ死んでいたかもしれなかったんだね…。」とティルに感謝を述べると、「いいよ、別に。ソウが生きていてくれて良かったよ♪死んでもらったら後味わるいしw」と明るい声が返ってきた。
「ティルって以外に腹黒いのかなぁ??」と思った瞬間だった。
その後、ほのぼのとティルとおしゃべりをしていると…
コンコン…
ノックの音がした。
「はい。どうぞ。」
返答するリオウさんの声と同時に、カーテンで仕切られた部屋なので、ドアが見えないものの、キィーっと緩やかな音を立ててドアが開くのを感じた。
「リオウ。様子はどうだ?」
「先ほど起きられまして、今はティルとお話ししていらっしゃいますよ。お会いになられますでしょう?」
すごくキレイなバリトンヴォイスがリオウさんに話しかける声が聞こえた。
(誰だろう?)
ティルは夢中になって「操舵室の一階下にある第一階層は船長たちの私室などがある」やら、「第二階層にはサロンがある」やら、「第三階層は風呂屋・レストランなどの商業地区」やら、「第四階層は乗組員の私室とこの船医室、図書室などの資料室」やら、「第五階層には謹慎室とリオウさんの趣味で、どこにドアがあるか分からなくしてある部屋・開かずの研究室☆がある」(非常にヤバそうな響きだ…)など、“素晴らしい設備が整っていて、いかにこの船がすごいか”を熱弁しているので、美声の主がやって来たことには気が付いていない。
(ティルのおかげで大体どんなところに何があるかわかったな。)
美声に気を取られながらも「感謝、感謝」と心の中で思ってティルの話を聞いていると、「すいません。ちょっといいですか?」とリオウさんの声がかかった。
「なぁに?兄ちゃん。」
「ティ〜ル、あまりソウ様を疲れさせてはいけませんよ。ソウ様、お疲れとは思いますが、お会いしていただきたい人がおりますので会っていただけますか?」
(面会人…?ソウ“様”ぁ!?)
「あ、はい。もちろん会います。
リオウさん。“ソウ”でいいです。敬称なんて付けないで下さい。あと、もっと砕けた話し方にしてもらえませんか?そんなにリオウさんに気を使ってもらう程、私は大層な人間ではありませんよ。」
そう答えると、リオウさんは少し困った顔をしてしまった。
お話の亀進行ごめんなさい。
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