8−4、蒼月 side
これで「蒼月の海」は連載終了です。
これまでありごとうございました!!
番外編を書く際は、またお知らせいたしますww
8−4、蒼月 side
「どういうことよ、モーブ?」
(王様がチョロイってなに?)
「詳しくは言わないけど、“マルスにふさわしい赤目・赤髪の娘を我が連れてまいる”って言って丸めこんどいたからww」
「今頃、全世界に噂は回ってるよw」とモーブは言う。
「それに、エンジに協力してもらって、俺らの世界で一芝居打ってきたしww」
「はぁぁぁ!!?父さん!!芝居ってなに!!!?」
目をまん丸くして叫ぶ。
どう考えても今の体勢と服装はカラキシ無視で……
「ん、あぁ。マルス君はソウには決して会おうとはしなかったが、2年前からチョコチョコ俺に会いに来ていたんだよ。“ソウを嫁に”って。」
「そうそう。エンジはマルスの熱心さに負けて芝居を打ったのさ。」
おどけるモーブ。
一瞬、「簪でも投げつけてやろうかしら?」なんてふいに思った事は御愛嬌。
「マルス君にモーブの本体、“カンタスの鏡”の前に今の王を連れてきてもらって、鏡の中から俺が登場。」
「ついでに俺もエンジの後ろから“モーブ”という人間の形を取って現れる。」
「そして、モーブと俺で“マルス君に私、エンジの娘、赤目・赤髪を持つ娘を嫁にするとこの世界は幸せに包まれる。
どうか私の娘をそなたの息子の嫁に”っていっただけだ。」
(父さん…、私の意思確認はなしですか…………)
「結婚を私が断ったらどうするつもりだったんだ……」と言う言葉を口の中でもみ消す私。
悟ったことは、
「どの時代の王位継承権第一位の王子はGoing My way(我が道を行く)だ。」
ということだ。
「そしたらさ、今の王ったら
“エンジ様がそうおっしゃられるなら!!モーブ様がそう勧められるなら!!!”
って簡単に信用したよwなぁ、エンジww」
(あ、あっさりと!!王がそれで、大丈夫かスカーレット王国!!!!!(心配))
きっと極度の興奮状態で、“エンジの娘= 私 ”が同一人物で、“実は赤目・赤髪でした!”なんてことに気が付いていないのだろうなって思った。
「ねぇ、なんで王はモーブってすぐ分かったの??」
「それは簡単、青銀の髪に赤い目は王族直系&王族史上・俺だけだ。」
「え?」
「青い髪を持つ赤目の子供は生まれにくいんだ。
生まれたとしても今までで5人くらいかな?どの子も蒼い髪に赤い目。
青銀の髪に赤い目の子はモーブのみだよ。」
「そうなんだ、父さん……」
「なんてわかりやすい特徴を持っているんだモーブ!!」と思ってしまった。
「ソウ、そろそろ俺の世界へ行こう。」
まだマルスの腕の中にいた私は、マルスが抱きしめる力を強めたために腕の中に閉じ込められてしまう。
「ソウが幸せに生きられるよう努力する。だから、俺のそばを離れないでくれ。」
「うん……//////」
恋を自覚したからか、その言葉がマルスから聞けてうれしくて仕方がない。
顔を見られたくなくて、マルスの胸に顔をうずめる。
(は、恥ずかしい…/////)
「改めて言う。ソウ、俺と結婚してくれるか?」
「…はい、喜んで//////」
マルスの目をみてそう、返事をすると顔中にキスの雨が降る。
(くすぐったい…///)
そう思ってキスを受けていると、
「俺らの存在忘れてない?」
とモーブ。
当然、聞こえないふりである。
「ま、いっか。
エンジ、シンシャ。また俺らの世界に来るときゃ迎えにくるよw」
「あぁ。ソウの結婚式か、ソウに子供が出来たくらいに来い。」
「命令かよ!いいけどさ。ん、じゃぁ、あそこの2人、連れて帰るから。」
「バァ〜イww」とモーブは父に言うと抱き合う私たち2人を包むかのように抱きしめた。
「ソウちゃん!元気でね!!幸せになるのよ!!!!!」
母さんの声を聞いたのを最後にモーブの光に包まれて、世界を渡る。
「うん、マルスといたら幸せよ。」
突然マンホールから異世界に渡り、海で拾われて血縁者に出会った。
父母の真実となかなか自覚できなかったけれど恋を知った。
なんとも納得できないことがたくさんあった。
本当に「なんでもアリだな、ここは」って思った事がいっぱいあった。
生まれ育った世界を離れ、培ってきた技術を捨て、そんな場所で…あ、愛する人がいる場所で、共にとずっと暮らせることになった。
(これ以上、最高なことってないんじゃない?)
マルスの腕の中で私はそう思った。
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