7−14、蒼月 side
7−14、蒼月 side
「何故だ…??」とぶつぶつ私が言っていると、モーブは楽しそうに口を開く。
「ふふっ。蒼月ならいつでも大歓迎さw(ちょうどいいオモチャだしねw)そうだ、ついでに…」
とモーブはいたずらっ子の表情を取っていそうな声で話していた言葉を意味深に切って、再び口を開く。
(何か今、変な言葉が聞こえたような…??)
私はビクリっと身をこわばらせる。
「マルスもこっちの世界とあっちの世界を行き来しやすいようにしといてやるよっ(笑)」
「恋人、なんだろ?」と声をひそめて言うモーブに、私は顔を真っ赤にし、
「ちっが〜うっ!!!!!」と叫んで黙り込んだ。
(なぜ!なぜ、そのような勘違いが!!!)
「だって、ずっと俺(=鏡)のこと睨んでるよww」と楽しげに話すモーブが本気で腹立たしい。
すると、後ろから「………姉ちゃん」とティルが声をかけてくる。
「なぁに、ティル……」
疲れたような口調で私は話す。
「………先ほどから誰と話されているんです?ソウ様??」
「へっ??」
(誰ってモーブじゃない……)
「何を言ってるの??」と首を傾げる私。
「あぁ、ティルもリオウもなのじゃな。」
「はぁ?どういう事??プラム???」
「いや、普通に会話している」私としてはティル、リオウさん、プラムの言う事の方がおかしいと思った。
「いや、な。
ソウが誰と話しているのかわからないんじゃよ。……声がソウのものしか聞こえぬのでな…………」
(え?モーブの声は私だけしか聞こえていないの??)
驚いて目を見張る私。でも、この中でモーブの声について一度も発言をしていない人がいる。
それは…
「…マルス。あなたも聞こえていないの?」
話を振られたマルスは、「いや……」っと声を出す。
(マルスも聞こえていない…??)
「どういうことだ?」と考えはじめたとき、マルスが…
「いや、聞こえている。
俺も“カンタスの鏡”を自由に使えるようだな。」
「感謝する。モーブ。」と言うではないか!!
「は?
えぇ!!マルスは聞こえてるの!!?なんで………」
混乱する私。
(きっと”聞こえない”のには、何か共通点があるはず…)
「う〜ん…」
唸る私に、聞こえたのは、
「あれ?お前ら知らなかったのか??」
と言う暢気なモーブの声。
「知らなかったって??モーブ何を!?」
「へ?」っと一瞬固まったが、「重要なことを今言った!!」と私はモーブを問い詰めるような声をだす。
「あぁ、赤目・赤髪の奴しか俺とは会話できないって。」
「「…………………」」
マルスも私も、一言も発しなかったため、部屋には沈黙が落ちたのだった。
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