7−12、蒼月 side
7−12、蒼月 side
(なんのこっちゃ??)
モーブの言う事は訳が分からない。
感想としては、「能力がいくら素晴らしかろうが、どこかが盛大に壊れていて困った人」というのがモーブのイメージだ。
(“赤と赤の間に生まれた娘”ね…)
私の父の“苑治”は“臙脂”、母の“シンシャ”は“辰砂”。
2人とも赤系統の名前を持っている。
「その2人の子供だから」、モーブの言葉を借りるとそんな表現になるが、確かに私は“紫”の血を持つ子供、素晴らしい能力を持つ子供ではない。
モーブのように自分の名前だけで“紫”は作れるが…。
(……そういえば、父さんの手記。相当モーブのこと嫌っている風な言葉が書いてあったような…………)
思い出してみれば、そうだった。
ただ、モーブの事を嫌っているのではなくて、モーブの考え方が嫌いだったようなことが書いてあったはずだ。
あの父のことだ、
「神のごとく1人だけが特別な人間なんていない。
勝手に異次元の人を自分の楽しみだけで引っ張り込む(む)な!!
ヒトはそれぞれ皆、この世に生まれてくる時点ですでに“特別”なんだ。
そして、生まれた場所に意味がある存在なんだ。
それを奪ってどうする!!」
ってことをモーブに知ってもらいたくて、1人で“紫”を作れる名を私にも付けたんだと思う。
(モーブには伝わってないみたいだけどね。)
「はぁ〜」とため息を吐いた私は、「父の話はどうでもいいんだけど、モーブ。私を元の世界に帰してよね!」と話が落ち着いてきたモーブに叫んだ。
「え〜、せっかくこっちに引きずり込んだのにもう帰っちゃうの?」
(は?今何て??)
ちょっと間をおいて、モーブの言う事を理解した瞬間に私は再び叫んだ。
「…マンホールに落ちた原因を作ったのはアンタか!!(怒)」
「うん。ついでに、猪を操って水のある場所に落とさせていただきましたぁww」
「ちょっと!!なに!その“達成感”あふれる笑顔は!!!っというか“水のあるところってなに!!!!?”」
妙に“達成感で爽快です!”的なやり遂げた感満載の清々しい笑顔をしてサラッととんでもない発言をしてくれたモーブ。
モーブはあっけらかんと「ん?だって水を引き金にしないと、ここの世界の海には落とせないよ?」という。
「海に落とすこと前提な訳っ!!!
っと言うか、海に落とすなっ!!下手したら死ぬわよっ!!!」
「別にぃ〜。俺には生死なんて関係ないよww
それに海に落とす方が楽しいし♪」
(嬉しそうに言う言葉かぁぁぁぁぁ!!!)
モーブはやっぱり変だと私は思った(泣)
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