7−9、蒼月 side
7−9、蒼月 side
マルス、私、プラム、リオウさんの順にティルに促されるまま、扉をくぐった。
(あれ?部屋が続いてる……。という事は、階段の逆。幻影で“何もない”ように見せているのだろうか……)
「便利ね…」と私は思っていた。
するとその部屋の中には円の中にピッタリと内接する蝶が描かれた文様が、光を放って地面から浮かび上がっていた。
(綺麗……、これが“転位の円陣”………)
ちょっと幻想的な風景に目を奪われていた私は、「姉ちゃん早く〜!!」というティルの声に我を取り戻した。
すると、ティルたちは“転位の円陣”の上に乗ろうとしていた。
「ごめん、ごめん。」と言いながら、全員で“転位の円陣”の上に乗る。
すると、円柱状の光が5人を包みこむ。
(わわっ、眩しぃっ!!)
眩しさに目をギュッとつぶり、光がおさまるとそろそろと私は目を開ける。
「ソウ。これが“カンタスの鏡”だ。」
マルスが見上げている方向に目を向けるとそこには巨大な鏡があった。
あまりの大きさに、私は目を見開き、あんぐりと大口を開けてしまった。
(……非常識なサイズよね…………)
鏡のサイズは例えると“一軒家の3階建て”くらいの大きさで、年季の入っていそうな落ち着いた色をしている鏡の枠には、豪奢な彫りが美しく刻まれており、一種の芸術品のようだ。
「姉ちゃん……。目、落ちそうだよ。」
「ティル、見落としておるぞ。顎も外れそうじゃ。」
「プラム様…、初めて“カンタスの鏡”をソウ様は見られたのですよ?
この反応は仕方がありませんよ。ねっ、マルス様。」
「そうだな、リオウ。」
「……あのね…、人が呆けている間に何を話しているのよ………………」
(なにやら聞こえてはいなかったが散々(さんざん)なことを言われたような気がする…(汗))
「姉ちゃん、そろそろ鏡にお願いしてみたら?」
「そうね。」
そう返事をして4人の方を向くと、何やらティルがマルス・リオウさん・プラムに睨みつけられている。
といっても、リオウさんは素晴らしく美しい微笑みが深いだけだが……
(き、気になる!!けど、ここで突っ込んでは命取りになりそうっ|||||)
「ごめん、ティルっ!私は命が惜しい!!」と心の中でティルに謝った私は、“カンタスの鏡”に触れられるくらい近くに歩み寄って声をかけたのだった。
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