2−3 マルスside
本文中にDNA鑑定に関する妄想表現等があります。御気分を害される方は3−1へとお進みください。
2−3マルスside
「彼女は余程まだ疲れてるんでしょうね。体力が回復する前にDNA鑑定でもしましょうかね…。」
(は?“彼女”………?)
「リオウ、こいつは“女”…なのか?」
俺は、このおぼれ死にかけた人物が、“女”だということに言葉を失った。
俺の家の直系男子、しかも長子にのみしか現れない“赤い髪”に“赤い目”。髪と目の片方だけなら、直系の男女にのみ必ず現れているが、それが両方そろい、なおかつ、“女子”に現れることは全くない。両方をそろえ持つ女子が現れるのは、この世界に危険が迫った時だけだといわれている。
「えぇ。この子は女性ですよ。マルス様、口の中の細胞を下さい。
あなたのDNAと彼女のものを比べて、血縁かどうか調べますから。」
(リオウ………マッドサイエンティスト化しいてるな。目がアヤシくなっている…)
少々危険な香り漂うリオウには逆らわないに限る。冷汗が背を流れていくのを感じた。
「あぁ、わかった。もし、俺と血が繋がっていなかったら…」
「この世界では“赤髪・赤眼”を持つものは限られています。ですので、血のつながりがないというのは、この世界のものでも、スカーレット王国のものでもないだけでしょう。それに、“世界の危機”はマルス様のひぃおじい様の代で完全に食い止められておりますでしょう?ですから、今、“赤い髪”に“赤い目”の“女性”が現れるのは不自然です。」
(リオウがいうのも最もなんだがな……。ん?)
「おい、リオウ。彼女のDNAはなにからとるつもりだ?」
すこし、引っかかったことを聞いてみた。
「皮膚または血ですよ。寝ている人から取るならそれくらいしかとれませんからね。」
“ミトコンドリアパターンなどを比べるんですよぉ〜”っと言って楽しげに鼻歌を歌っているリオウ。
(今のリオウに逆らってはいけない………)
こうして大きなため息をついた俺は、ティルと共に船の一番下にあたる第五階層にあるリオウの趣味の部屋、名付けて『開かずの研究室☆』という酷くアヤシさただよう場所に連行されたのだった。
本文中のリオウ・マッドサイエンティスト化設定やDNA鑑定などについては妄想が入っています。実際のモノとは分けてお考えください。
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