6−22 マルス side
6−22 マルス side
食事室でうつらうつらし始めたソウ。
ソウがこうなった原因は……、アイツらだ。
抱き上げて俺の部屋まで連れて帰って来たソウの髪を寝やすいようにほどいてやり、ついでにブレスレット以外の装飾品もはずしてやる。
あとは靴を脱がせてベッドに寝かせるだけだ。
「おい、ソウ。大丈夫か?」
「んにゃ〜、ムニャムニャ……だぁいじょぉぶよぉぉぉ〜♪」
(いや、全然大丈夫ではないだろう…)
俺は眠ってしまったソウに上掛けをかけ、「すまない。」と声をかけてそっと部屋を出た。
あのあと、父上と俺の待つ食事室に男装のプラム(またもや俺の昔の服…。)と蒼い髪を結い上げ、首を覆い、肩を出した白とも光の加減では青とも見えるロングドレスを着たソウが食事室に入って来たのだが…。
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父上はソウを見た瞬間、感激のあまり失神・食事室を退場。
まぁ、父上が倒れてくれたおかげで城には平穏が戻った訳だ。
…………そこまでは良かった。
まさかプラム・リオウが「ワシのお勧めの酒じゃ。遠慮せず飲めww」「このお食事にはこのお酒が合いますよw」と次々と口当た(あた)りがよくアルコール度数の強い酒をソウに飲ませるなどという思いもよらない事態が発展しているとは…。
その時、俺と言えば侍従も侍女も父上を運ぶことを嫌がった結果、床に転がしておくにも忍びない父上を部屋に運び寝かしつけていた。
父上を寝かしつけ、食事室に戻ると既に出来上がりつついるソウ、ソウにお酌しつつ笑顔に何か不穏を感じるリオウ・プラム。
「うふふ〜。いやぁ〜、このお酒。とっても美味しいですよ!プラム!リオウさん!!」
「そうですか?それはよろしかったですw」
「なぁなぁ、ソウ、こっちも試してみろ!ワシの勧めを断ろうなんて思わんじゃろっw」
「もちろんよぉ〜プラムw」
「うふふ〜」「あはは〜」「ん、もうw」などなど・・・。
何故かソウ・プラム・リオウの周辺だけピンク色に染まり、花が暢気そうにフヨフヨ飛んでいそうな雰囲気であった。
一方、そんな3人を尻目に“我関せず”を決め込みひたすら一言も発せず食事を続けるティル。
(異様な光景だ…)
そうこうしているうちに扉の前に立っていた俺に気づいたプラムがさけぶ。
「あ、兄貴!遅いのじゃっ!!」
「マルス様、お先にいただいています。ささ、お早くお席にどうぞww」
「マルス様ぁ〜!!もうちょっと早く帰ってきてくだざい゛よ゛ぉぉぉ〜!!!」
(すまない、ティル…)
にこやかなプラム、リオウ。涙目のティル。
何があったかは…、聞かない方が身のためかもしれない。
「…ソウ。食事は口に合うか?」
「ん、あぁ、マルスぅ〜!お帰り!!うん。おいしぃいよぉ〜w」
プラムに勧められた杯を両手で持っているソウは呂律が既に危ない状態だ。
「ソウ。もうさ…「マルス様!お早く!!」」
(リオウ?)
「あぁ。」
「もう酒はよせ。」と言う言葉をソウに聞かせないようにするためか、リオウが言葉をかぶせてくる。
(何のつもりだ…)
そう思いつつ席に着き、食事をとった。
ソウが舟を漕ぎ出すまで…。
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