6−20 蒼月 side
6−20 蒼月 side
私が思考に沈んでいるとリオウさんが「陽も暮れてきましたし、また本探しはまた明日にしましょうか?」と声をかけてくれた。
それに同意した私たちは、集めた本をマルスの部屋に突っ込んだ後、明日の打ち合わせを軽く整えた。
明日は本探しと今日見つけた本を読む2班に分かれるそうだ。
今現在、こちらの字が読めないことは私にとって非常に痛手になっている。
ちなみに本を読む班はマルスの部屋で作業するらしいが、私に手伝えることと言えば本探し班の荷物=(本)運びくらいのもの。
「何せ本探しも、本を読むこともできないのだから、誰かの手を借りなくては身動きが取れない…。」という状態なのだ。
だがしかし、帰る方法を探さなくてはならないのは私。
頼ってばかりではいけない。
(何とか文字、覚えなくちゃね…)
「あとでリオウさんあたりに相談しよう」と心に決めた。
明日の予定が決まった後、マルスに手を引かれて理由も教えられずプラムの所へと連れて行かれた。
「プラム、頼むぞ。」
「はいよ!ワシが責任持ってキレイに仕上げるのじゃっ!!」
「はいはい兄貴は出てった、出てった!」とマルスの背を押して部屋から追い出すプラム。
そんなプラムに「期待はしない。プラム、いい加減に服返せ!着替えろ!!」とだけ行ってマルスは去って行った。
(い、一体なにをされるのかしら……)
私は「期待はしない。」という酷い言葉を完全にスルーして考えこんでいた。
不安に思う私を余所に嬉々(きき)として「取り敢えず、湯浴みに行くのじゃよっ♪」とはしゃぐプラムとともに浴室へ向かう。
プラムと共に脱衣所とおぼしき部屋で服を脱ぎ、風呂場への扉を開くと沢山の女性が礼をしていた。
(ま、まさか……)
嫌な予感ほど的中するもの…。
「ぎゃあぁぁぁ!!自分で出来ますぅっ!!!やぁーめぇーてぇっ!!!!!」
庶民生活22年。
有無を言わせず押さえ付けられ、他人十数人に囲まれて髪や身体を洗われたり、全身をマッサージされたりした経験はありません!!
浴室から私の悲痛な叫びが城中に谺するのは仕方がないことと思われる……。
御意見・ご感想、誤字・脱字のご指摘はして下さると嬉しいです。