6−17 蒼月 side
6−17 蒼月 side
「兄貴…、まだへこんでおるのか………」
「うるさい、プラム。」
ピンク色の髪の人は“プラム”という名前らしい。
(あれ?なんか更にマルスがへこんでる?)
段々(だんだん)と暗くなっていくマルス。
そこにすかさずリオウさんのフォローが入った。
「まぁまぁ、お二人とも。お腹が減って気が立ちやすくなっているのではないですか?お昼にいたしましょう?」
「賛成!プラム様、早く並べようよ!!」
リオウさんはティルと共にバスケットの中身を並べ出した。それに倣うようにプラムさんも中身を並べ出し、「ほれ、兄貴も席に着くのじゃ」と声をかける。
どよ〜ん、とした空気を醸し出しながらトコトコと席についたマルスは「プラム、城にいる時ぐらい自分の服を着ろ。」と言い、私の方を向いた。
「ソウ。コイツは俺の妹、名を“プラム”という。 プラム、言葉使いが城を抜け出した時のままになっているぞ。」
(は?“妹”??“言葉使いが城を抜け出した時のまま”?)
よくわからない会話だ…。とりあえず、パンツスタイルの“女性”ということだけはわかった。
「あぁ。この人“親戚”じゃろ?ならば、“姫らしく”しなくても良いじゃろ兄貴。」
「…“姫らしい姫”と国内・国外ともに有名な俺の“妹”の本性がこういうモノとは知らず、夢を描く人々が気の毒だ…………」
「マルス?」
額に手をあてて「やれやれ困った」のポーズを取るマルス。
「ソウ、プラムは“親戚”だけには本性をさらす。」
「王家では禁止事項なのですよ。」
「「プラム(様)の“本性”を公に口に出す(してしまう)事は。」」
マルスとリオウさんの二重奏。
ガックリとしたマルスに、ニコニコ顔のリオウさんがとても対照的だった。
すると、横からヌッと手が出てきたので、「?」と手の出てきた方向に顔を向けると、
「ワシはプラム、紹介通りこんなナリをしているがマルスの妹じゃ。」
「よろしく。」と握手を求めてくる。
「こちらこそ、よろしくお願いしますプラムさん。私は東雲蒼月、“ソウ”って呼んで下さいね。」
そういいながら手を握る。
「ワシの事は“プラム”と呼ぶのじゃ。堅苦しい言葉を使わず、普通に話してくれる方が嬉しいのじゃっ、ソウ!」
「堅苦しいのはリオウだけでいいのじゃよっw」とニコニコ笑顔をプラムは向けてくれる。
(プラムも目が赤いんだ…)
プラムは赤い目にピンクの髪をしていた。
マルスやリオウさんに聞いた「王家の直系は“赤目”」という事は確かなようだ。
「挨拶は済んだ?ならさっ、ご飯にしようよ☆」
ティルの声が「待ちきれないよ!!」というように上がる。
思わずプラムと目を合わせ、クスっと笑ってしまった。
(プラムとは仲良くやっていけそうだわ…)
そう私は思っていた。
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