6−16 蒼月 side
6−16 蒼月 side
「わぁ〜〜〜〜〜…」
思わず感嘆が漏れる。
バラのアーチを主に色とりどりの花々が楚々(そそ)として辺り一面に咲いていて、とても美しい。
花々に眼を奪われていると、「綺麗だろう?東の庭園はティルのお気に入りの場所だ。」と先に廊下から庭園に下りていたマルスが声をかけてくる。
「うん。凄く綺麗だね〜」
そうマルスに答えながら、私とリオウさんは庭園に降りる。
先を行くマルスの案内で庭園の奥へと進んで行くと、よく大きな公園などで見受ける西洋的な“休憩所”があった。
(多分ここで昼を取るつもりなのね。)
さっさと階段を上って椅子に腰かけたマルスを追って、私たちも階段を昇り椅子に腰かけると気持のいい風が流れていた。
(風が気持ちいな〜。)
マルスとリオウさんの交わす言葉さもBGMにしながら、私はほのぼのとした気持ちで静けさを楽しんでいた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「マルス様、ソウ様。ティル達が来たようですよ。」
リオウさんに言われてリオウさんが指さす方向を見ると、とティルとピンク色の髪をした見知らぬ人がバスケットを抱えてこちらへ歩いて来るところだった。
ピンクの髪をした人は、顔が見えないけれど脚の線が出るパンツを履いているので男性だろうと思う。
(女性は特別な職種の人を除いて脚の線が出る服は着ちゃダメなんだもんね〜、ココ。)
そう思っていると、こちらが見ていることに気づいたピンク色の髪の男性は、バスケットを片手で抱えなおし、もう一方の手で大きく手を振って「兄貴!!」と叫んだ。
(え?声が高いんですが…)
「もしや“女性”?というか“兄貴”って誰ですか??」と思っているとガバっと起き上がり、こちらに足早に来る音がして…
「プラム!!俺の服を無断で着るな!!!」という声が隣から上がる。
「別によかろう?減るものでもないのじゃしっ☆」という返答が聞こえる。
その返答を聞いた途端、ガックっと首を落とし、「懲りてない…」と呟くマルス。
(マルス??)
哀愁さえも漂ってきそうな雰囲気のマルス。
(仕方ない。)
マルスに聞いたら落ち込みに追い打ちをかけそうなので、「誰ですか?あの人。」とリオウさんに尋ねる。
するとリオウさんは「こっちに来てから本人に聞いて下さい」と茶目っ気たっぷりにウィンクする。
(…なんか、はぐらかされた気がするんですけど。)
“本人=ピンクの髪人“がこちらに来るまであともう少し。
へこむマルスを隣に私は“本人”の正体を知るため、ティルと“本人”の到着を待つこととなった。
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