6−14 マルス side
6−14 マルス side
俺たちは“禁止本部屋”へと場所を移し、再び“カンタスの鏡が使用され、私の父・エンジの足跡がある期間”についての資料を探し始めた。
俺は資料を集めながら、“扉”の事を考えていた。
(あのリングをしていたとしても、“禁止本部屋”の扉は開くのだな)
リオウの発明品装置・“変装しちゃいましょう!改良品5号”でソウは髪の色を変えていた。
それにも関らず、扉は本来“赤い目・赤い髪”を持つソウをカギと認め、その扉を開いた。
つまり、「変装してようが変装していまいが、扉は“カギ”を見分けることができる」という事がわかったのだ。
そこで俺は、この扉の“カギ”に関する説を思い出した。
(カギは「“赤い目と赤い髪”を持つ人間」説が正しいのか。)
今までは「“スカーレット王国国王と王位第一位継承権者のみ”がカギだと扉が判断する」説、カギである国王と第一王位継承権者・2者の特徴から「扉のカギは「“赤い目と赤い髪”を持つ人間」説の2説がこの扉にはあったのだ。
今さっきその2説についての決着が目の前で見ることができたのだが…
(黙っておくしかないな。)
ソウが「“赤い目と赤い髪”を持つ人間だ」とは言うわけにはいかない。
現に、父である国王にも言っていないのだから。
“赤い目と赤い髪”を持つ“女性”が現れたというだけで世界中が昔の記憶を思い出し、パニックを起こしかねないのだ。
このため、ソウが「“赤い目と赤い髪”を持つ“女性”」だということを隠しているのだから、どの説が“正しい”と答えを言う事ができない。
(残念だ。)
今探していた本棚の中から集められる資料が終わったので、次の本棚に移ろうかとした時、俺は「そういえばソウは?」と思いだした。
こちらの文字が読めず資料探しでは戦力外。「好きにしておけ」と言ったまま放置していたソウを目で探す。
見つけたソウは、物珍しげに部屋の中を眺めて歩いては、本を手にとって開く、という仕草を繰り返して楽しそうにしていた。
(あの様子ならもうしばらく放っておいても大丈夫だろう。)
リオウ、ティルのことも目で探し、順調そうに資料を集めているかどうかを確かめた。
2人とも手際よく資料を集めて行っているのが見て取れる。
この調子だとあと2,3時間で資料集めは終われそうだ。
そこで俺は考え事を切ると、高い所にある資料を集めるために梯子を運び、資料あつめを再開したのだった。
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