6−9 マルス side
6−9 マルス side
今朝はソウを連れて図書寮へ向かうことにした。
図書寮まで先導するために俺はソウの前を歩きながら、昨日のことを思い出していた。
昨晩、俺の父であるクリムソン・スカーレット国王に帰国の挨拶と、ソウを拾ったこと、そしてソウの身元について話したのだが…
(“エンジ様とシンシャ様の娘に会わせろ”とか騒ぎ出すとは…)
ソウの両親、“エンジ様とシンシャ様”はこの世界の“救いの神”の4人中の2人だ。
(“会いたい”というのは当然かもしれないが…)
ちらりと後ろを見て、ソウが俺の歩くペースに着いて来ているか確認する。
(“明日の夜、晩餐にお招きしろ”と突然言い出すとは…)
ソウには「今日の夕飯は俺の父と一緒に取ってくれ。」とは言っていない。リオウやティルには言っているが…
(朝から気がかりを増やしてやるのは可哀想だしな…)
昨日、気を失った時は“学校の夢を見ていた”とソウは言っていた。
(余程、元の世界のことが気になっているのだろう)
今、俺の父の要望を告げないのは、せめてもの心遣いのつもりだ。
まぁ、何と言っても“俺の親”だ。ソウにとってもそれほど大した人物ではないはずだ。
(コイツの方が俺の父以上に“大物”なのだから。)
「それにソウ自信が気づいていないかもしれないが。」と頭の中で思っていた。
(早く元の世界へ帰してやらなければ…)
「ソウを元の世界に帰す。」と考えるとき、何故か俺の胸はチクリっと痛んだ。
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