閑話1-1 リオウside
今週、来週はリオウ、ティル兄弟から見たマルスと蒼月のお話です。
閑話1-1 リオウside
「兄ちゃん、マルス様が変だ。」
事の始まりはソウ様の発明品装置・“変装しちゃいましょう!改良品5号”作成中に飛び込んできて叫んだティルの発言でした。
船に海で浮かんでいた女性、しかも王族だったソウ様とティルが楽しそうに“ソウ様の世界”についてお話されているのをマルス様がソウ様の部屋の窓の下で座り込んで聞いていることは知っておりましたが…
「ティル?マルス様がどうされたというのですか??」
「悩んでるんだよ!!最初、姉ちゃんに無愛想にしてたけれど、姉ちゃんが異世界から来たのを僕たちの話を盗み聞きしててさ。姉ちゃんの話が“信用できる”って分かって“急に態度を変えて怖がられても困る”っとか言い出してるんだ!!!」
「ほぉ〜、珍しいですね。」
(女性に対しては特に自己防衛の意味も兼ねて常に無愛想な振りを続け、急に態度を変えて怖がらせては更に自己防衛を貫くマルス様がねぇ〜…)
マルス様の“自己防衛”によって、マルス様に言い寄ってくる貴族嬢や姫君方を大体は追い払うことができるようですが…
(女性不審(=上記の女性たちにはこれが“硬派なイメージ”として差し替えられている)も少々あらっしゃる、あのマルス様がね〜)
「そんなことを気にしていらっしゃったんですか…」
「うん。それで“帰国と共に態度を変えようか”とか言い出してるんだ!」
「それって“急に態度を変える”って言わない!!??」と両手握りこぶしで叫ぶティル。
「そうですね。〜〜ところで、ティル…」
ティルがビクッ!!っと固まる。
「私は今、忙しいのはご存じですね?さっさと話し終えたら出て行って下さい。」
「さもなくば…」と言葉を切ると脱兎の如く、「しっ、失礼しましたぁ〜〜!!!」と部屋をかけ出ていく。
(まぁ、マルス様のことも明日になればわかるでしょう。)
「っさ、改良品5号!完成させますよ!!」
「今のティル兄に近づくと命の危険が!!」とティルが青い顔で船に乗る人々に伝令を飛ばしているとも知らず、そのまま暁を見るまで改良品5号の作成に没頭したのでした。
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