2−1蒼月side
2−1 蒼月side
ザ〜ン………ザ〜ン………………………
(……ん。な…に………?………………波…の音………………………?)
薄ぼんやりとした意識の中、海の音が聞こえてきた。
「〜〜ぃ〜。」
「あぁ。〜〜〜ぇ〜〜〜。」
(……………人の声??……誰?)
波の音に誘われるように、徐々に意識が浮上し始めたとき、話し声が聞こえてきた。
「………………ちゃん。……かな?」
「……ですよ。」
「…………………?」
「………………か?…………………かは聞かなかったんですが………。」
ゆるゆると目を開けると、10歳くらいの男の子と青年2人がいた。
「兄ちゃん!目ぇ開けたよ!!ねぇ、大丈夫?気持ち悪くない??」
ポニーテールにした砂色の髪に、茶色い目をした男の子が飛びつくように声をかけてきた。
「こ〜ら、ティル。あまり大声を出しちゃダメですよ。
大丈夫ですか?どこか痛むところはありませんか?あなたは海に浮かんでいたんですよ。そこを救助されました。大丈夫ですよ、手荒なマネはしません。安心してくれていいですよ。」
男の子、「ティル」をたしなめた、首もとで束ねた長い青銀の髪に紫の目、銀ブチ眼鏡をした青年が今度は話しかけてきた。
「………あ……の…、こっ……こ…は…?」
喉と口内は塩辛く、ひどく乾燥していたため、かすれた声しか出なかった。
「ここはスカーレット王国の船、バーミリオン号の中だ。」
すっと背に流れる長い深紅の髪と目を持つ、一人の青年が水差しからコップに水を移しながら答えた。
「座れるか?少し水でも飲んだほうがいい。」
深紅の青年は、私の上半身を起こし、コップを口に当てて水を飲ませてくれた。
正直、体がだるくて思うように動かなかったので、彼の補助はとても助かった。
ひとくち、ふたくち水に口をつけ、口を開こうとすると、
「もう少し、眠れ。質問は君が回復してからだ。
君も聞きたいことがたくさんあるだろうが、こちらも「何故、君があんなところに浮かんでいたのか」など、聞きたいことはたくさんある。だが、まずは体を休めろ。すべてはそれからだ。」
と言い、また横にしてくれた。
水を飲んで少し落ち着いたのか、私はまたスーッと眠りに落ちて行った。
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