6−7 蒼月 side
6−7 蒼月 side
カタカタカタと音を立てながら、ワゴンを押したマルスが帰ってきた。
ワゴンの上には瑞々(みずみず)しくて美味しそうな桃、つやつやと赤い苺やさくらんぼ、甘い香りのライチーなどの果物、金平糖、一口サイズよりちょっと小さくて凄く可愛らしい形をしたチョコレートやクッキーなどが美しいバランスで盛ってある。
(わぁww 美味しそう〜w)
あぁ、なんて現金な私。目の前の凄く美味しそうなものに顔がゆるむ。
私のベッド脇にそのワゴン置き、「好きなものを摘め。」と優しく微笑みながら声をかけるマルス。
「レモン水とモモ水、あとはアイスティーがあるが…」
「どれにする?」とマルスが腰をかがめて、私の顔を覗きの込むようにし、目線を合し、眼で聞いてくる。
(/////近い!!顔が近いよ!マルス!!!//////)
あたふた!!と後ろに仰け反り、「れ、レモン水がいいですっ!!」とだけ答えた。
「?」と首と傾げなから、離れたマルスはリオウさん、ティルにも希望を聞き、みんなに飲み物を配った。
どうやら、リオウさん・ティル=モモ水、私・マルス=レモン水を選択したみたい。
それからの時間は4人で雑談をして、お茶の時間(?)を楽しんでいた。
その後も、果物やお菓子をお皿に入れて渡してくれるのもマルスがやってくれていた。
マルスの手から食べさせてくれようともしたが、これはさすがに慌てて断った。
断った時、「そうか。」とマルスは少々、悲しそうだったので、「ちょっとかわいそうだったかな?」とも思ったけれど、私の恥ずかしさに比べれば何ともないだろう。
「ソウ。」とマルスが、私の名前を呼ぶ。
「どうしたの?」
「お前の世界に帰る方法が、城の図書寮か王都の王立図書館にあるはずだ。明日から探してみるか?」
(母さんや父さんもこっちから向こうの世界に帰れたんだし、「帰れないわけがない」っか……。何か父さん達が帰った方法についての記述が残ってるはずよね。)
「資料は多ければ、状況が掴みやすいし、明日からでも行きたい」と返事をする。
「そうか。では明日の朝、まずは城の方から行くか。」と悲しげな笑みで答えるマルス。
(どうしたんだろう??)
私は「変な奴だなぁ〜」っと小首を傾げるばかりだった。
御意見・御感想、誤字・脱字は教えて下さると嬉しいです。