6−5 蒼月 side
6−5 蒼月 side
なんだかマルスの甘い雰囲気に居た堪れなくなっていた頃、リオウさんとティルがやってきた。
「ねぇちゃん、大丈夫?」
「うん。もう大丈夫よv ねぇ、ティル。ここは何処?」
「ん。スカーレット王国のお城、そんでもってマルス様の部屋w」
「…………え゛?」
一瞬、思考回路が停止した。
(いま、ぬぅわんて言ったぁぁぁぁ!!!!)
停止した思考回路が一気に動き出し、私の頭の中は大混乱!!
(私の服、ぴらぴらしたネグリジェになってるんだけど!!着替えとか、マルスがしてくれたわけ!!!??)
固まったまま動かない私を見て、「はぁ〜」っとため息をついたマルスは、
「すっきりとした果実水か何かを持ってこさせよう。」とベッドから立ったマルスは部屋から出て行った。
「リオウさん、ティル。マルス、なんだか変じゃありませんか??」
先ほど感じた疑問を2人にぶつけてみることにした。
「あぁ、それはですね、ソウ様。」
「姉ちゃんは、マルス様に気に入られたみたいだよw」
(っはぁ???何故、そうなるんだ!!!)
あれだけ無愛想でムカつくしか思いつかないような態度を取っていたヤツが!!
「どうやら、出先のしかも海に浮いているソウ様を見つけたので警戒されていたようです。ソウ様の言動をしばらく見て、本当に異世界から来た女性だと納得されていたのですが、あからさまに態度を変えれば驚かれると、悩んでおられましたよ。」とリオウさん。
(確かに、あの無愛想から急に優しくなられるのも怖い。)
「現に今そうだし。」という言葉を私は飲み込んだ。
「姉ちゃん、あれが本来のマルス様の姿だよ。ホントはとっても優しいんだ、気に入った人限定でね☆」と人差し指と親指をL字にしたティルがウィンクを飛ばしてきた。
「ティル…。あの甘い雰囲気のマルスは“気に入った人”の前しか現れないのね?」
「そうだよw 姉ちゃんは僕らと同じだよ!んで、船でも姉ちゃんが大人数の前に出るのを怖がってると思って、安心させようとしてたんだけど、逆効果だったみたいだねー」
「姉ちゃん、倒れちゃったしっ!!」と言い、バフっ!!っと私のベッドに飛び乗ってきたティルは元気に宣誓してくれた。
(………ということは、これから毎度、あの“甘い雰囲気”のマルスに出会うわけか…)
ティルが飛び乗ったことで大きくバウンドの波を続けているベットに座ったままの私は、
「耐えろ私!むしろ耐えるより、あのマルスに慣れろ私!!」と心に刷り込むかのように自分の心に暗示をかけるのだった。
御意見・ご感想、誤字・脱字のご指摘は教えて下さると嬉しいです。