6−2 蒼月 side
6−2 蒼月 side
帰港直前、「着替えろ。」っというマルスに投げ渡された服に、「何故?」と尋ねる暇もなくどこからどう見ても“お姫様”な服に着替えさせられ、簡単に髪や顔を飾り立てられた。
その後、ティル、私、マルス、リオウさんの4人は船の舳先に並び、マルスは唇を我が心の友・マイちゃん曰く、“アルカイック・スマイル”を作り、優しそうな表情を赤い瞳に浮かばせていた。
一方、私とマルスより一歩下がった位置でリオウさんとティルはにこやかな笑顔を作っていた。
(見たことない顔つきになってるなぁ〜。3人とも。)
「どうしてそんな顔つきになってるんだろう??特にマルス、変だ!!」と普段のマルスを見ていると、どうしても失礼極まりないセリフばかりが頭をよぎる。
そうこうしている間にバーミリオン号は港に着艦した。
帰港したバーミリオン号に乗っているマルスを見つけた人たちはマルスに向かって、
「皇子様!!お帰りなさい!!!」「殿下!!ご苦労様です!!!」
などという割れ響かんばかりの歓喜の声が届き渡る。
そして、その声に花を添えるべく音楽隊らしき人たちが帰港を告げる高らかなファンファーレを奏で、まるで大波のような歓喜が押し寄せてきた。
(マルスってちゃんと王族だったんだ………)
「皇子」やら「殿下」やら口々にみんな笑顔でマルスのことを呼んでいる。
(それにしても、何だぁ!!!この人の海は!!!!!)
今更ながらに驚いて固まってしまった私の隣には“アルカイック・スマイル”を作り、優しそうな表情を赤い瞳に浮かばせ、集まった人たちに手を振って答えるマルスが立っていた。
この状況を怖がっていると思ったのか、マルスが「大丈夫か?」っと気遣わしげに声をかけ、肩を抱いてきた。
(……/////っか、か顔が近い!!!!/////)
普段のマルスからすると、凄くありえない行動に照れと焦りを覚え、更に身を固くする。
そんなことを知ってか知らずか、マルスは私の頬にキスして、耳元で低く囁いた。
「大丈夫だ。落ち着け。」
(………////////落ち着けるかぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!//////)
マルスの私に対する行動を見て、娘さんたちの
「「「「「っきゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜//////////!!!!!! 」」」」」という雄叫びが上がる。
(本気で…。本当にやめてくれ!!!心臓が持たんわ!!!!!)
恥ずかしさで憤死しそうになり、心の中の言葉まで口が悪くなる。
そう思ったのを最後に「プッツン」と真っ白になって、記憶が途絶えた。
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