5−8 マルス side
5−8 マルスside
「では、しばらくお待ちくださいね。装置を取ってきますから。」
そう言ってリオウはイソイソと背中に花でも咲いているように華やかで軽やかな空気をまといながら、この部屋を出ていった。
(読みが甘かったか…)
俺はてっきり“男装”を選択すると思っていたのだ。
(拾った時は“男装”だったしな。)
ここら近辺の国では、ズボンを履く女がほとんどいない。女性が脚の形を人目に曝す事ははしたないとされているからだ。
着用者がいても動きが活発でスカートでは動きが不自由になる特殊な職業に就いている女性のみだった。
気の強そうな目をしている、こいつの姿・形は体の線さえ隠せば“少年”で優に通ることもそう思った理由の一つにある。
(読みが外れんと考えて、リオウの発明品装置・“変装しちゃいましょう!改良品3号”の危険性を言わなかったのだが…)
俺のお忍び用に作ってもらったリオウの発明装置には、何故か変な欠陥がある。
初号機の時は髪・眼・肌の色まで同じ色になった。全身緑色で気持ち悪いこと
に…。
改良品1号機は魔力がないと使えぬ代物だった。しかも魔力消費量はハンパないくらい膨大で魔力枯渇で死にかけた…。
改良品2号機は1号機の改良がなされていて、魔力がいらなくなった。
そのかわりに、髪と眼が色んな色が混じった斑色になった。
改良品3号は…できたらしいが俺自身、まだ試していない。
(危険性を伝えるべきか…)
「「っはぁ〜〜〜〜………………」」
ティルとため息がかぶる。
きっとティルもさっき見たリオウの“ニヤリ”が気になっているのだろう。
(確かに“マッドサイエンティスト”顔の片鱗が出ていたしな…………)
「はぁ〜…………」
俺はもう一度、肩を落として大きなため息をついたのだった。
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