5−1 蒼月 side
マルスに”王族で、マルスの血縁”と知らされた蒼月。はてさて、彼女の反応とは如何に…
5−1 蒼月side
「…ね、姉ちゃん……王、族だったの……………?」
口をパクパクとさせていると、ティルが私の服の裾を“ぎゅーっ”と握りなが
ら、覗き込むように私の顔を見上げていた。
「………い、いや…。学生………だよ」
お父さんと同じ生物の道に進みたくて、大学は理工学部の生物学科に入学。
今年、大学を卒業し、大学院進学を果たして大学院1年生になったばかりだ。
「いや、間違いなく王族だが…。ブレスレットの紋章がその証拠だ。本当に何
も知らされていなかったのか?」
(「紋章」……?「何も知らされていなかった」…?どういうことよ??)
呆然と父さんから大学卒業祝いに譲り受けた自分のブレスレットについている
金細工モチーフのアゲハ蝶……を眺め、しばらくして我に返った私は「ちょっ
と、どういうこと!教えなさいよ!!」と口にしようとしてハタっと気がつい
た。
そういえば、面会人ってリオウさんが言ってたけど………私と同じ赤い髪に赤
い目のこの美青年は…………?
(そう言えば、父さんにすこし似ているけど…)と小首を傾げながら、「あなた
……誰……………ですか?」と問うと、「俺はマルス。マルス・スカーレット。
スカーレット王国の第一皇子だ。」と、ぶっきら棒に返してくる。
(“マルス”ぅ〜??そんな人知りませんが……。)
久々の蒼月sideです。
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