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オオカミノ国  作者: 十乃字
幕間
32/81

シュリの手記1

 一章のあらすじです。読み飛ばして頂いても問題ありません。


 アランから字を教えてもらった。練習用にと何も書いてない本を渡された。何でもいいから書いてみろと言われたけど、困る。




 色々と考えたけど、あの日からのことを書こうと決めた。忘れたくないから。




 あの日は春の晴れた日だったと思う。


 いつものように皆で遊んで、お母さんのお手伝いをして、お父さんがお肉を持ってかえってきて。


 そんないつも通りが、真夜中に終わった。


 お母さんに起こされたら、お父さんはもう家にはいなかった。手を引かれて外に出たら、オウガたちがいた。


 皆が不安で、心細くて、集まって震えて。


 村の入口の方の空がが赤々と滲み始めたのは今でも覚えている。突然胸がザワザワして、そこにいちゃいけない気がして、そうしたらオウガのお母さんのアイナさんが皆に逃げろって。


 先にオオカミ族の他の人たちを逃がしたけど、お母さんたちは村でやることがあると言って、私たちだけを逃がした。


 本当は村に残ってお母さんたちを待ちたかったけど、絶対にダメだって。


 そこからはよく覚えていないけれど、オウガに手を引かれてずっと山の中を走っていた気がする。



 森の広場で目が覚めたら、オウガしかいなかった。ハヤテは、どこかに行ってしまったアヤリを探しに行ったらしい。


 そこに現れたのが、イヌ族のミツルギだった。


 彼は、笑顔で私たちを助けると言って……人間の奴隷商に笑顔で売り払った。




 それからのことは思い出したくもないけれど、忘れることは許されない。


 奴隷商人のメストは、私たちを調教だと言って何度も殴った。


 特にオウガは、商品価値が無いからって私の分まで殴られていた。それでもオウガは、私を励ましてくれていたのに……。


 あいつらは、見せしめだって言ってオウガの耳と尻尾を、切り落とした。


 その愚かな行為の代償として、奴隷商人たちは血の臭いに誘われたグリフォンに襲われたらしい。


 でも、あいつらが死んだところで、オウガの自慢の尻尾もピンとした耳も、もう戻らない。


 オウガはそんなヒドイ目にあっても、気絶した私を背負って歩き続けて、そしてアランに出会うことができた。


 人間なのに私たちを助けてくれたアランはモチロン恩人だけれど、私の一番の恩人はオウガだ。


 いつかこの恩を返すことはできるかな。


※あらすじ執筆に当たり、本編を一応読み返したのですが、ほとんどは記憶やメモを下に書き下ろした物ですので、もしも本編と齟齬などがありましたらご報告頂けると助かります。

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