表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十六夜の宴  作者: いろはうた
17/17

セナちゃんになってみた

皆様こんにちは。


いろはうたです。


今回は幻術をまとって、いろはうた、


見た目だけは、ナメワカのサブヒロイン、セナちゃんになってみました。


この姿のまま、彼女の騎士様タスクさんに突撃しようと思いま……痛いっっ!!


うぉぉ……


柱のささくれに指をひっかけ、現在ひとさし指からの出血が止まりません。


この時代、建物はほとんど木造だもんね……


どこからか天罰だ、とか聞こえたような気がしますが


聞かなかったことにしま……うぎゃっ!?


目の前にいいかんじの胸板……じゃないタスクさんがいた。


き、貴様、いつの間に!?



「姫様、お怪我を……?」


「いやあの……柱のトゲに指をひっかけただけで……」


「いけません!!


 お見せください!!」



光の速さで手をガシッと掴まれた。


速ッ!!


怖ッ!!


今、全身の毛穴が開いたわ!!


いろはうたの全毛根が総立ちのスタンディングオベーション!!



「傷は……浅いようですね。


 ……よかった」



タスク君。


よくない。


非常によくないぞ人の怪我している指をあろうことか


口に運んでなめたり吸い上げたりするのは。


その執拗さ、砂漠の旅人が少ない水を飲みほしているよう。


いろはうたはオアシスじゃねぇよ!?



「貴方様は血の一滴までもがおれのものなのですから、


 もっと御身を大事にしてくださらねば」



ぞわッ


ぞわわわわわッ


やべえ……


これが俗にいうロールキャベツ男子か……


騎士様だから従順なのかと思いきや、かなり独占欲が強いと……


ああ、いろはうたよ……


何故キャベツに肉を巻いてしまったんだ……


ボイルキャベツで満足しとけよ……


とりあえず、ぐいっと自分の手をタスクから奪い返した。



「て、手当してくる!!」



こんな風になめられ続けたら心臓がもたんわ!!


しかしだ。


……何故だ。


何故、今、一瞬でこの空間のGが一気に五倍ほど重くなったんだ!?


いろはうた、地面に陥没しそうなんですが!!


あ、足!!めりこみそう!!






「……誰に」






お、おまえか、タスク!!


おまえかGを極端に重くしたのは!!


しかもタスクからなんか黒いオーラが出ている!?


目をゴシゴシ。


……きっ、消えない……だと……ッ!?






「……誰に、手当を、して、もらう、おつもりで」






何故センテンスごとに区切る!?


怖いわ!!


怖すぎるわ!!






「……あの男、白夜に、ですか」






タスクから聞こえる歯ぎしりらしき音が、刀で岩を削っているような、


かなりヤバげなものなんですが!?


この人、セナちゃんのこと好きすぎる!!



「ぐぇっ!!」



乙女らしからぬ声を上げてしまったのは、壁際に追い詰められ、


タスクの両腕で閉じ込められたからだ。


こ、こんなに命の危機を感じるものでしたっけ壁ドンって!?


も、もっと、こうトキメクものじゃなかったっけ!?


いろはうたの心臓が今、キュンを余裕で通り越して、


ズキュンズキュンしているんですが、


これはトキメキじゃなくて純粋な恐怖によるものだわ!!うん!!



「……行かせない」



なんだ、その目は!?


目からレーザービームか赤外線が出そうだぞ!!


バーコード読み取れそうだぞ!!


……って、はっ!!


今、いろはうたは見た目はセナちゃん。


か、彼女になりきらなければ……!!


え、えっと……セナちゃんは……



「なによ!!


 たっ、タスクだって、蝶姫様とずっと一緒にいてたくせに……!!」



ぷいっと顔を背けて気づく。


ぎゃーっ!!


セナちゃん!!


彼女、ツンデレキャラじゃなーいっ!!


な、なのに、あろうことか、ツンをしてしまった!!


ど、どうしよう!?


取り返しのつかないことをやってしまった……!!


ちらっとタスクを見ると。


ぎゃぁぁああああああああ―――っっ!!


愕然としている!!しているよ!!


ひめさま、とタスクの唇が声なく動いた。


おーけーおーけー。


愛しの姫様の初めてのツンに驚きのあまり声が出なく……いやあああああ!!


どうしよう!!


これ、中身セナちゃんじゃなく


いろはうただってばれたら……こ、殺される……!!





「姫様……もしや……嫉妬して……くださったのですか……?」





は!?






違う違う。


キャラを間違えただけって……なんだ!?


さっきまで地獄の悪霊に支配されていそうな虚無の闇と化していた空間が、


一瞬で幸せムンムンのわんだふぉーな世界に変わったんですが!?


く、くそっだめだ!!


タスクの目がトロットロにとろけきってる……


これは、何を言っても聞かないわ……



「ああっ!!姫様!!」


「おふぇっ!?」



抱きつぶされた。


壁に押し付けられるようにして。


やだやだやだ!!


タスクさん、あなた、サンドイッチの具となるキャベツになれても、


それをはさむパンにはなれな……や、やめっ!!


具であるいろはうたが潰れてはみ出る!!ぎゃああ!!



「……可愛らしお声だ」



今のどこを聞いてそう思った!?


難聴か!?


さては貴様、そうだな!!


耳鼻科行ってこい耳鼻科!!


にしても、なんつー硬い腹筋だ……。


タスクの普段着は腹筋が露わになったものだ。


おかげで、こう……いやでも目に入るわけだ。


そ、そうだ!!


話をそらして脱出しよう!!



「たっ、タスクは、いつもお腹を出している格好をしているけど、


 寒くないの~!?」



ぎゃああ!!


声が裏返った!!


だというのに、タスクさんはいろはうたの挙動不審さに気付かないどころか


ひどく色っぽく笑った。




「……ええ、寒いですよ。


 だから、貴女がいつも温めてくださらないか」




ぐはっ……


や、やめろタスク!!


これ以上、読者様たちもいろはうたも砂糖という名の砂を吐きまくって


もはやストックがなくなりそうなんですが!!


そしてなぜかおもむろにするりと肩を撫でられた。


ぞわぞわと這い上がるのは喜びではなく、捕食される草食動物の恐怖に近い!!



「華奢な肩でいらっしゃる。


 花と間違えて蝶が止まってしまうかも」



わかります。


わかりますよ読者様。


いろはうたも、読者様たちと一緒にめっちゃドン引きしますから。


引きすぎてもはやスペースがないくらい引いていますから……!!


タスクが、演技なんかじゃなくて、わりと本気で言っているのが心底怖いわ!!


っていうか、全然腕を離してくれそうにもないのですが!!


こうなったら、宇宙の果てまでも逃げ……いや無理だわ!!


この人、セナちゃんのためだったら宇宙まで逃げても追いかけてくるわ!!


いやあああああああああああああっっ!!















結局、たまたま通りかかった女官たちに救出してもらったいろはうたなのだった。


ご愛読ありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ