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  作者: 安紀
2/5

美緒の計画



「やったー!ありがとーー!」


懇願した末、あたしはこの女の子の家に泊まることができた。


「お世話になります」


「いいけど、親は心配しないの?」


女の子は不安そうな面持ちで尋ねてくる。


「大丈夫大丈夫」


とりあえず今日の寝床が確保できて一安心だ。


「で、あんた名前は?」


グラスのお茶をあおりながら、女の子は聞いたきた。


「あ、お互い自己紹介まだだったね」


「そういえばあたしも言ってなかったね。あたし三枝三玲(さえぐさみれい)


「あたしは佐藤美緒(さとうみお)


「美緒ちゃんね、いくつなの」


「18歳」


「そうなんだ、あたしは19だよ。美緒ちゃん高校生?」


「…そうだけど、高校やめちゃった」


「…!……そうなの…。なんかごめんね」


三玲さんは気まずそうに目を伏せた。


「三玲さんは悪くないよ、謝らないで」


そう言ったけれど、三玲さんは気にしていて、軽くうつむいていた。全然深刻になる必要ないのになあ。


それから、三玲さんは遠回しに、親とうまくいってないのかとか、今は普段なにしているかとか、聞いてきたけど、あたしはうまくぼかしながら話した。


お風呂をいただき、いざ寝るぞ、となったとき、時刻は夜中の1:30だった。かなり夜が更けた。


「ごめんね、パジャマ借りちゃって」


「替えの下着は持ってたってコトは、家出するつもりだったんだね」


「そういうことでいいから、もう寝よ!」


この女の子、もとい、三玲さん、家出家出ってうるさい!


「はいはい、おやすみ」


その言葉の3秒後、暗闇になった。三玲さんから与えられた布団にくるまりあたしは寝た。

身元もロクにわからない人間を泊めてもいいなんて、三玲さんは心が広い。しかし、あたしが指摘するのもお門違いだが、三玲さんの危機管理能力は、低いだろう。






朝、目が覚めると、そこには誰もいなかった。

テーブルの上に書き置きと鍵が置いてあった。


『美緒ちゃんへ。

おはよう☆

あたしは仕事があるので先に出るね。

朝ごはんは冷蔵庫の中のものテキトーに

食べといて!炊飯器にご飯もあるよ☆

家を出るときはそこのカギで

とじまりしてね!

部屋を出たらカギはポストに

入れといてください。


ではまたね。

さみしかったらいつでもうちにきてね☆


三玲』



この内容から察するに、あたしはここに連泊できないようだ。今日も泊まりたいんだけど。困ったなあ。


時計を見ると8:30だった。三玲さんはいつ部屋を出たのだろう。深く眠り込んでいたせいで、身支度している音も全く聞こえなかった。昨日は疲労が凄まじかった。


「お、ナットー!」


冷蔵庫を開けると、ナットーがあった。茶碗にご飯をよそい、ナットーを混ぜた。


「んー、ヤミーー!」


朝食を食べ終え、服に着替え、顔を洗う。

ただいま9:38。


「あー、三玲さん、何時に帰ってくるのかな~」


どんなに早く帰ってきても、午前中はまだ三玲さんも仕事中だろう。


ふとTVをつけてみる。朝の情報番組が放送されている。

ぼっーとしながら、それを見ていたら、ある注目すべきニュースに遭遇した。


「こ、これは…」



あたしは立ち上がり、戸締まりをして、部屋を出た。そして、TVをつけっ放しにしていたことを思い出して部屋に戻り、TVを消して、部屋から出た。


「よっーし!」


気合いを入れる。


そして駅へ向かう。



すべてあたしの思惑通り、事が運べばいいんだけど。









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