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√ H E V E N .  作者: 璃花
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√ 0 1

「また、この夢・・・」


静かに目を開けると最初に見えたのはマーガレット柄の天井だった。

これで何回目だろうか。


5日間くらい連続で同じ夢を見ている。


ベッドから降り、部屋にある三面鏡の前に座って長い亜麻色の髪を(くし)()かす。


夢に出てくる少女の名前が自分と同じ『姫乃(ひめの)』という所も気分が悪い。

だが私はそんな過去の記憶はないから別人なんだろう。


「姫乃様、おはようございます。芳野 美聖(よしのみさと)様がお見えです」


こんこん、とドアをノックする音が聞こえると同時に凛とした声が聞こえる。

彼女は(かなで)


母が私のお世話係として付けた、使用人だ。


「お、おはようございます。今行く、と伝えて下さい」


(かしこ)まりました。」


奏が階段を降りて行く音が聞こえた。

いつも毎朝階段を昇り降りしているらしい。何だか申し訳ない。


今日から新しく聖薔薇学園(せいローズがくえん)高等部3年だ。

クラスも新しくなる。


急いで三つ編みをカチューシャのように結び、両サイドにリボンをつけ、制服に着替える。


今日美聖が家に来たのは学校まで一緒に行くためだ。


手持ち鞄を持つと部屋を飛び出し、階段を急いで降りる。

玄関には美聖が立っていて、正面の階段から来た私に気づいた。


「おはよう、美聖」


長い階段を降りて美聖に挨拶をする。


「おはよ。いつも通りで何より。朝ご飯は?」


いつも遅刻寸前でも自宅で朝ご飯を美聖と一緒に食べる。


おかげでいつも遅刻していて、クラスメイトからはマイペースコンビと言われる事になった。


「あ!そうだ、新学年だから舞い上がって朝ご飯忘れちゃった。食べて行こう」


美聖を玄関からあげると、リビングへ向かう。

この家は無駄に広い。


どこのお嬢様の家だとでも言いたくなる程に大きい。


使用人もいるため、増々そうだ。


「小母さん、おはようございます」


リビングでコーヒーを飲んでいた母に美聖は頭を下げる。

挨拶をされた母はにこっと微笑み、「おはよう」と返事を返す。


「今日から2人とも3年生だね。勉強、頑張りなさいよ。ほら、座って」


いつも通りに母が私達に椅子に座るように言う。

座るとすぐに奏が目の前に朝食を置いてくれた。


「ありがとう。お母さん。」


「ううん。美聖ちゃんと同じクラスになればいいね」


お母さんは本当に優しい。

たまに怒るけれど、それもやっぱり愛情なのかと感じる。


優しすぎて不安になるくらいだ。


「うん。」


くだらない会話をしながら朝食を食べ、美聖と共に急いで家を飛び出す。


「ちょっと今日は時間取り過ぎたね」


と、美聖は苦笑いをする。



朝食を食べた直後に走ったため、横腹が痛くなるが気にせず走る。


「あと5分だね、ちょっときついかも」


5分で授業を開始させる鐘が鳴る。

自分のクラスを見つけなきゃいけないのにいつも通りじゃやはりきつかったらしい。


「ちょ、姫乃。前!!」


美聖が叫ぶ。

何事かと、前を見ると男性と思われる背中が近くに見えた。


「と、止まれない!」


私は足にブレーキを掛けたものの、男性にぶつかってしまった。


「いってえ・・・。何すんだ手前(てめえ)


「ご、ごめんなさい!!」


よく見ると男性は聖薔薇学園高等部3年の物だった。

イコール、私達と同じ学年の生徒。


ゆっくりと男性の顔を見るとその人は。


「姫乃、その人・・・」


美聖は青ざめた顔をしていた。

そう、この人は――――。


学校一モテると言われている、“鴉ノ宮 蓮(からすのみやれん)”だった。


美聖が青ざめた理由はそれだけではない。

鴉ノ宮 蓮は、冷静沈着だが暴言が多く、本気で怒ると暴力も振るうような人だからだった。


でもそこが良い、という女子が急増して今では学校一のモテ男となっていた。


「おい、早く退()けろ」


私は頭の中で危険信号が鳴り響く中、パニックで動けなくなっていた。

退けろと言われているのに、足が竦んで動けない。


「姫乃!退け!」


美聖も動かない私に危険を感じたのか、大声を出す。

そしてやっと動けるようになり、慌てて蓮の上から体をけた。


「ごめんなさい!!」


私は恥ずかしくなって頭を下げ、学校に向かって走り出した。

美聖も走った私を追いかけて、一緒に走る。


もし、鴉ノ宮 蓮と同じクラスになったらどうしよう。


只事では済まないだろう。

あんな逃げるような真似をしたんだから。


「大丈夫かな、怖いって噂だけど」


走りながら心配そうに隣の美聖に聞く。


「分からんね、どうなるかは」


はぁ、と溜息をつく。


結構な時間、無言で走るとようやく学校に到着した。

生徒は勿論誰もいない。


玄関前に貼られているクラス発表を見ると、美聖と私は同じクラスの3-2だった。


「やった!あと1分だよ、急ごう。」


美聖とハイタッチをして2組に入る。

ドアを開けた瞬間、新しいクラスメイト達に見られたが担任はまだ来ていないようだった。


自分の席に座ると、ラッキーな事に美聖は後ろの席だった。


鞄から準備物を取り出し、机の中に入れ、鞄を横にかけた。


タイミングが良かったのか、鞄を横にかけた途端に担任が入ってくる。

担任は女性だ。

焦げ茶のショートボブは担任の女性によく似合っていた。


「えーっと、名前は浅賀 美奈(あさかみな)です。1年間宜しくお願いします」


クラス全員に頭を下げるとあれ?と何かに気づいた。


「鴉ノ宮君は?」


鴉ノ宮。

さっき聞いたばかりの名前。


そう、鴉ノ宮 蓮の事だ。


同じクラスだったのか。あんな事があった直後に顔を合わせるのは拙い。

美聖と同じクラスなのは嬉しいが今からでもクラスを変更したい。


担任がきょろきょろしていると、後ろの教室のドアががらっと開く。


そして入ってきたのは鴉ノ宮 蓮。

蓮が入ってきた瞬間に女子がざわざわとざわめき始める。

入って一番最初に目が合ってしまった。しかも睨まれた。これは危険だ。


「・・・ある女のせいで遅れた」


と、言いながら蓮は自分の席に着く。

ある女というのはきっともしかしなくても私の事だろう。


本気でこれはヤバいかもしれない。


後ろの席をちらっと見るとやはり美聖も苦笑いの表情を浮かべている。



私はここから既に運命の歯車ルーレットオブフェイトが回っている事に気づけはしなかった―――。

本当のお話はここからです(((;゜Д゜)))


これからどう姫乃の運命が変わるのか。

美聖と蓮がどう姫乃に関わる事になるのか(+o+)!?


次に続きます!

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